町外れにある 寂れたお屋敷は どうやら
10年前から 空家のままだとか
興味のありそうな 友達を誘って 二人で
午前0時過ぎ そっと忍び込んだ
草の生い茂る庭を
照らしながら
蔦の張り付いた壁を見つけて
月明かりを 跳ね返す
割れた窓の硝子と
ぬるい風に 遠吠えが
深い闇のどこかで
私たちは 裏口の
壊れかけた 扉を
こじ開けたら その先に
螺旋の階段の部屋
聞いた話では お屋敷の主は 今でも
幽霊になって 暮らしているだとか
軋む 細長い床を
歩きながら
二人 寄り添って そこで見たのは
ライト越しの額縁に
微笑むもの 少女が
二次元から抜け出した
その瞬間 壁際
並んでいる燭台に
灯りだした キャンドル
金縛りで 動けない
意識がただ 遠のく
気が付いたら 私たち
大広間に 座ってた
目の前には晩餐が
煌びやかに 並んで
老婦人の佇まい
少女の蒼い瞳
目が覚めたら 一人きり
真夜中のベッドルーム
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