イヤホン

詞・曲：acros

いつもの学校の帰り道
イヤホンつけて外界は遮断
街の喧騒など僕には　届きはしないさ

視界に入るものといえば
人混みとゴミと嘔吐物
消えてなくなればいいのにな
消えてなくなればいいのにな

三人組の女子高生　監視カメラの視界を縫って
バッグにコスメを詰め込んだ　その間零コンマ一秒

そんな刹那の世界の変動も　僕には当たり前になった
生と死の境界線は　遮断機一本で成り立つんだ

傷つかないように生きていく為に　イヤホンは外さないように
透明な僕の姿が　僕に見えないように耳を塞ぐんだ

なんだかんだ危ないから気を付けて
なんもかんも触れないように生きている

駅のホームのサラリーマン
俯いてブツブツ一人呟く
スーツはヨレヨレになって　靴は泥だらけ

酔ったオッサン若者に　ケータイ使うなと胸倉掴む
口論の末殴り合い　その間零コンマ一秒

そんな刹那の世界の変動も　僕には当たり前になった
生と死の境界線は　黄色い線一本引かれてんだ

傷つかないように生きていく為に　イヤホンは外さないように
臆病な僕の姿が　僕に見えないように隠してくれ

道を踏み外す瞬間も　誰かの放った激昂も
BGMにかき消されて　ただの風景に変わるのさ

そんなに自分は特別かい　存在なんて軽いもんさ
君達が僕を気に留めないように　誰も君達を気に留めない

バイクに乗ったフルフェイス　背後からゆっくりと近づいて
婆さんのバッグひったくった　

耳の中駆け巡る音楽に　心を全部預けるんだ
見えないフリと聞こえないフリして　良心も忘れちまおう

傷つかないように生きていく為に　イヤホンは外さないように
僕を責め立てる　僕の声が聞こえないように耳を塞ぐんだ

周りの大人も見向きもしないし僕だってどうにかしたいさ
白を黒って嘘を吐く奴らがヒーローじゃどうしろってんだ

なんだかんだ危ないから気を付けて
なんもかんも触れないように生きている

なんだかんだ危ないから気を付けて
なんもかんも触れないように生きている

いつも見慣れた制服が　遮断機の向こうに飛び込んだ

見てない　ああ　聞こえない