ずっと写真すらないまま
過去を旅するだけで
息をすることも、忘れてしまえたのに。
君の声も恋も全部
憶えてるはずなのに
手のひらのなかに何ひとつないな
教えて、ライラック
この好きの行方
やさしいまま縋ってみた
切ないままね
君がいた季節が巡って
空っぽのこころ抱いて
きっとわたしはひとりで
大人になった
君の嘘もいつも刹那
分かってるはずなのに
すり抜けていったあの日の体温
お願い、ライラック
その声で呼んで
それだけでも生きていける
苦しいままね
記憶までが私を置いて
ふしあわせって笑って
そっと君がいなくても
気付かないんだ
君がいた季節を辿って
ほら指切りを破って
きっとわたしはひとりで
大人になった
「さよなら、ライラック
もう枯れてもいいよ」
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