今日の朝は、ミクさんの怒声で始まった。
「お兄ちゃんの、ばかー!」
玄関で大きな声がしたと思ったら、ミクさんが外に飛び出していった。
「ミクー。待ってくれー。」
ミクさんと入れ替わりに残っているのは、ミクさんよりも背の高い青年。彼女が唯一、兄と呼ぶ存在だ。
私は冷蔵庫から棒状のアイスクリームを取り出した後、情けない声を出している彼に声を掛けた。
「またミクさんと喧嘩をしたのですか。」
「ミクがーっ、ミクがーっ。」
肩を大きく揺さぶられる私。
普段爽やかな言動をする彼だけれど、ミクさんと仲違いすると、いつも私に頼るのだ。
「とりあえず、アイスクリームでも食べて、落ち着いて下さい。」
意識が無くなる前に、彼の口に棒アイスをねじ込む私。
そして、棒アイスを食べて落ち着いた彼は、今日も爽やかな顔でこう言った。
「これから一緒に、ミクを探しに行こう。あの山へ。」
やっぱり今日は、作曲活動出来ないのですね。ミクさん。
空に向かって嘆(なげ)きたい気持ちを堪(こら)えて、私は彼の話を聞く事にした。
「今日は何が原因なのですか。」
「ミクの料理を味見して、アイス味が足りないね、と言ったんだ。」
「ミクさんは、それくらいでは怒りませんよ。」
「ミクが『アイス味って何なの。』って質問してきたから、『子供のお前には分からないよ。』って答えたんだ。」
いえ、私にも分からないんですけれど。アイス味。
私は、冷蔵庫から麦茶を取り出し、自分のコップに注いだ。
「その後は?」
「ミクが『私は子供じゃないよ。』って言ってきたから、『ネギを凍らせてもアイスにはならないよ。』って答えたんだ。」
台所に残っているお鍋を見る限り、ミクさんが作っていたのは暖かい料理だ。
大方、売り言葉に買い言葉で、口論がエスカレートしたのだろう。
「でも、どうして、ミクさんがあの山に行くと分かったのですか。」
「すごいソースを探すと言っていたからさ。」
「すごいソース?」
「あの山には、ネギ色をした伝説のソースが採(と)れるという言い伝えがあるからね。」
あれっ、待てよ。
その話は、私もミクさんから聞いた事がある。
「究極のネギ味、などと評される、噂のあれですか。」
「そう。それを口にした者は、天国を見る事が出来るという噂だ。」
「なんだか、嫌な予感がしますね。」
「うん、僕もそう思う。」
私達は、2人揃って溜息をついた。
頑固なミクさんは、その調味料を見つけるまで、自分からこの家に戻ってくる事は無いだろう。
しかも、彼女がその調味料を見つけたら、彼と私が試食する事になるのは目に見えている。
「だから、ミクがソースを発見する前に、僕達がミクを見つけて説得するんだ。」
「そうしましょう。」
彼に全て任せると、ミクさんを更に怒らせそうで心配だ。
私は、2つのリュックに食料と寝袋を詰め込み、1つを彼に渡した。
「食料は3日分用意しました。」
「アイスが無いよ。」
「途中で溶けてしまいますよ。」
「大丈夫、携帯用冷凍庫を持ってきたから。」
そのような物をいつも持ち歩いているのですか。KAITOさん。
とりあえず、冷蔵庫に入っているアイスクリームを、彼の持つ携帯用冷凍庫に押し込んだ。
「飲み水はどうしますか。」
「必要なのは1日分。後は現地調達出来るよ。」
ビニール袋とコンロと水筒と、、、
私達は用意を整え、ミクさんが出かけた山を目指して出発した。
ミクさんが新作料理を作る時。第1楽章
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