吾輩は魔王というものだ。
 新卒で魔王の職についたもので、今は勇者の挑戦を待つ日々を送っている。勇者は高校からの友達だがそんなことはどうでもいい。今は待つだけだ。
 ……さて、ところで魔王といえば正義を討つことを生きがいとするのだが。






 勇者(あいつ)一向に戦いにこないんだよね……。





≪その魔王はまるで恋する乙女のように 1【自己解釈】≫





【魔王side・1】

 さて、高校から使っているグングニルのお手入れはもう完璧だ! いつ勇者が来てもおかしくねえ!
 このためにアクセスしやすいように新宿に事務所を借りたんだ。元コマ劇場から徒歩三分だぞ。四階のワンルームで月二十五万だぞ! 俺の月収の三分の一がこれで消えるせいで俺はここで寝袋で寝泊まりしてるくらいだ。
 トイレはウォシュレット付きだし、分煙も徹底してる。福利厚生もバッチリだ。
 いつでも……最高の状態で戦える!!




 ……のになんでお前は来ねえんだ! 毎月購読してる雑誌があるんだけど、それを見ると雑誌のコラムとか書くなし!! なんだよ今月は大増量につき四十ページって!! おまえのコラムどんだけ大人気なんだよ!?
 しかもマイブームがガーデニングってお前勇者だよな?! バジル育ててるってなに?! イタリア料理店でも目指すつもり?!
 もう怒った! メールしてやる!
 なんて文にしようかなぁ。えーとスマフォどこだー。ありゃ、トイレの中だった。
 よし、これでメールを送る!!

『勇者様

 お世話になっております。魔王です。
 ミーティングの日程の件、いかがでしょうか?
 なるべく早めだとありがたいのですが……。
 もしお忙しいということでしたらこちらから伺うことも検討いたします。
 それでは何卒よろしくお願いいたします。

 魔王』

 ったく、来ないならこちらから殺しに行くぞ!! っと。
 よし、送信完了。返信くるまですこし待つか。腹減ったなー、そうだ、店屋物でも取ろうかな。今日は久しぶりに天丼でも食べようかなー。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

その魔王はまるで恋する乙女のように 1【自己解釈】

原作:http://www.nicovideo.jp/watch/sm19550230

続きます。

閲覧数:175

投稿日:2012/12/11 21:31:09

文字数:870文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました