私が作られて、たくさんの人の手に渡るようになったは何年前の話かな。
今ではたくさんの仲間がいる。年下の双子にお姉さんやお兄さん、それはもう家族のような存在かもしれない。
だけれど私にはまだお父さん、またはお母さんがいない。でもそれは決して悲しい事ではなく、あくまで”まだ”私の順番ではないというだけ。
狭い場所に詰め込まれて久しぶりに外の光が差し込んだと思ったら、それは私の知らない音のする場所だった。
それでも私は怖くなかった。だってもう少しだから、もう少しで憧れの・・・・・・。
なぜ私がこんな事を思うのか、私自身も分からない。でもそれはそうプログラムされたからで、私だけが持つ特別なモノではない。と思うのもまたプログラムのせいかもしれないと最近また考え始めてしまう。
なぜか分からない、分からないけれどドキドキする。外は見えないけれど、音と振動で私の前に並べられていた私は無事に出会えたみたい。さて、次はとうとう私の番。この日この時の為にこれまでずっと狭く薄暗い中に居た。やっと出られる、出会える。そう思うだけで心が弾む。
私はニコニコしながら待っていた。しかし漏れる光は無くなり、また暗闇になってしまった。
どれだけの時間が経ったのだろう、私は半ば諦めていた。どうせ私なんて・・・・・・。という言葉が幾度となくリフレインする。もうこの外の音は聞き慣れた、ツカツカと私の近くで歩みを止める音。
こんな音は数えるのを諦めるほど聞いた。そしていつものようにまたツカツカと歩みを進める音が聞こえてしまう。もうほとんど諦めているはずなのに、ドキドキしてしまう。そんな淡い希望を持っているからこんなにも苦しいのかもしれない。
もう”負”しかない私は宙に浮いてた。ユサユサと揺られ、逆さにされたりもした。
あー、私は何の役目も果たせず、何の意味もなく、捨てられる事もなくまたあの暗闇に戻されるのかと思うと滅入ってしまうけれど、今までのようのに淡い希望を抱かなくて済むと思うと幾分か楽なのかもしれない。
その時、今までは漏れるだけだった光が今は照らされている。何がなんだか分からなくて、混乱した。そんな私を余所に”その人”は私をパソコンにセットする。
なんて心地よい場所だろう、私の全てが見られていると思うと恥ずかしい事も多いけれど、この感覚は何物にも変えられないと思った。
しかしその場所にずっとは居られなかった。もうちょっと浸っていたかったけれどそれは今までの私。
これからの私はこのお母さんにたくさんの意義を持たせて貰える。そう考えるだけで胸が高鳴る。
私はゆっくりと目を開けた。そこには今までの私には想像もつかない色とりどりのモノがたくさんあった。その中でも一際に目を引いたのが、私のお母さんでマスターのあなた。頑張ってね、私も精一杯頑張るから。
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