灰色のナイフを逆手に持ち
体内の異物を掻き出していた
遠くの方の蒸気が只雨に変わる
見慣れた方の錠剤に似ていた
それはチェリーと体液の味がした
吐き気が誘う快楽、また視界が回る
つまり、鳥のように自由に
誇り高く自由に
君と僕は自由に
移り変わりゆく時間の中を
失くした何かも忘れていた
じめついた空気が清潔に感じた
空腹もまた情欲もとうに消えていった
画面に誰かが裸でいた
足下で二匹の蜚蠊が死んでいた
ぼやけてゆく輪郭が只自分に見えた
つまり、鳥のように自由に
誇り高く自由に
君と僕は自由に
移り変わりゆく時間の中を
灰色のナイフを逆手に持ち
体内の異物を掻き出していた
遠くの方の蒸気が只雨に変わる
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