ユア視点

「悪UTAUが攻めてきた…ですか?」

私は、突然の呼び出しに、困惑していました。
先程まで、私は部屋で待っていましたが、実衣さんからの通信により、私はブリッジへきました。

「…それも、恐らく悪UTAUの殆どです。本気で叩きにかかっているようですね」

実衣さんは、モニターをブリッジの大きい画面に映しながら言いました。

「この映像は、それぞれのボーカロイドに伝えてあるわ、キリアちゃんも、怪我が治ったようだしね。ユア、貴方が、命令をしなさい」

「私が…ですか?」

「そう、復讐をしろとは言ってないわ、ただ…決着をつけてきなさい。悪UTAUとの…そして、貴方の成すべき事との…」

「…分かりました…」

私は決意をしました。
これが、私達の戦いの集大成なのかもしれません。或いは、総ての始まりなのかもしれません。
どちらでもいいです。ただ、目の前に、ボーカロイドの歌う歌を壊そうとする者達…そして、関係のない人々を殺した者達が、殆どの勢力を連れて戦いに来ている…。
こちらを、本気でつぶそうとしています。
なら、私がなすべき事は…。

「ボーカロイド隊全部隊に命じます。悪UTAUとの決着及び、ユウ・ルシル・ドリーム等の被害者達を奪還。できますか?」

『了解!』

「…貴方、気付いて…」

「気付けない筈もありません、双子なんですよ?殆ど会っていなくても、会った事すらなくても…何故か、分かったんです。それに、彼の本名…お母様、堂々と叫んでましたしね」

「…まあ、ね」

「ユウには、戻ってきて欲しいんです。私の、大切な…家族だから…」

「…」

「じゃあ、ミア、リア…。行きましょう、貴方達のお兄ちゃんを、取り戻しに行きましょう」

「うん!」

「…はいっ!」

私達は、ブリッジをあとにしました。

これが、悪UTAUとの最終決戦になるといいのですが…。

UTAUもボーカロイドも、戦いの道具じゃない事を、分かって欲しいのです。
あの子達は、あんな事に使う道具ではないから…。

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キョウ視点

「…っ!こんな時に悪UTAUですか…」

私は、ユアさんからの命令を聞きました。
そして…ユアさんの決意も、分かりました。

「…ララの事は、僕に任せて。皆は、行って」

<…行くぞ>

ソウは、ルル君の言葉を聞いて、そういいました。

「でも、ソウ君…」

「いや、此処は、オレ達は行った方が良いかもしれない…。二人っきりの時間も欲しいだろうし…それに…」

「それに?」

マイさんは、ミユウさんの言葉に、首を傾げました。

「いや、なんでもない…。悪UTAUとの決着が付くんだ。オレ達も行かないと、駄目だろう?」

「…ミユウの言葉も一理あるな。マイ、行くぞ」

「え~っ!?ルル君、ちゃ~んと、ララちゃんを連れてきてね!」

「じゃあ、行きましょう!」

<これが、最後の決戦ってわけか…>

そう言って、私達は、ルル君たちの部屋を後にしました。

(きっと…ララちゃんが戻ってくると信じて…)

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ルル視点

「…ララ、悲しいから、嫌だからって…。逃げ出さないで…。ララはいつだって、逃げ出さずに現実を認めてきた。僕が信じられないような事だって…信じていられた。どんなに悲しい事があっても…それから、楽しい事がきっとあるはずなんだよ!僕は、明るいララを見ていたいんだ…。僕には、ララしかないんだよ…。ミク姉も戻って来た…その代わり、リユウはいなくなった…それでも、認めていかなくちゃならないんだ!僕だって、信じられないよ…。でも、ララ…僕を一人ぼっちに…しないでっ…!僕を…一人ぼっちに…しないでよぅ…」

僕は、僕が思ったありのままを、ララにぶつけた。
今まで思ったこと全部、ララに言いたかった事全部。曝け出す。

「僕は、仲間を失うのは嫌だった…でも、それ以上に一番怖いのは"大切な家族"がいなくなる事だよ!ララ!お願いだから…戻ってきて…。僕は、このままじゃ…押しつぶされそうで…悲しくて…寂しくて…ララが今まで感じた以上に、嫌になるんだよッ!感情から逃げるなッ!怖くても、向き合っていかなきゃならないんだよっ!」

気付けば、僕の瞳からは、大量の涙が溢れてた。
感情なんて、最初は自分にはないと思ってた。
でも、この何かを大切に思う気持ちとか、笑顔が溢れるとか…。
それが、感情なんだって、僕は気付いたんだ。
ララや…キョウ、ソウ…マイ、サウ…皆がいたから。

『感情なんて要らない、嫌だ。もう、誰かを失った悲しみは、感じたくないッ!』

「…っ!」

ララの声が聞こえた。
きっと、大丈夫。
みんなの気持ち、僕の気持ち…それを、ぶつけないと、ララは戻ってこないと思った。


お願いだから、戻ってきて。
どんなに悲しい現実でも、受け止めていかなきゃ、この世界には存在できないから。


存在する事を、やめないで。

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ミク視点

「…遂に、来ちゃったんだね」

私が対峙してたのは、天音ルナちゃん。

【ミクさん、私の今やりたい事はボーカロイドの破壊、歌という存在の破壊なの…それを止める権利は、貴方にはありませんわ!】

「…どうして!?ルナちゃんは、そんな子じゃなかったはずだよっ!今までの自分を思い出して!」

【今までの自分には吐き気しか感じませんわ、私は、貴方達が大っ嫌いなの!】

ルナちゃんは容赦無しに私にビットを繰り出してきた。
私はなんとかそれを避けつつ、ルナちゃんに攻撃を与えられずにいた。

攻撃できる…もんか…。
だって、だって皆仲間だったんだよ?こうやって戦ってるのは、誰かが皆を操ってるせいで…。

私達は、こんな事をするために生まれたんじゃない!

「…♪♪~♪♪♪~」

【あっう゛…うわああああああああああああああああっ!】

「♪♪♪♪~♪~」

歌った。思うままに歌いだした。
そうした方が良いと思ったから。
何かを言うよりも、歌を聞かせた方が、私はあの子達には早いと思ったから。

「♪♪~」

【…う…ったっ…うたっ…やめろ、止めろおおおおおおおおおぉぉぉぉっっ!】

ルナちゃんは、また攻撃を始めた。
私は、歌いながら、ボカロボットと心を一つにして…。
これは私の体。外付けの体…。

皆に、この歌を聞かせる!

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リン視点

「歌が…これ、ミク姉の!」

「だな…」

【GHAIOF;GAIHRGOHGR】

私達は悪UTAUと対峙していた。
沢山の悪UTAUが私達の行く手を塞ぐ。
ミク姉の歌はオリジナルではない悪UTAUには効かないようで、容赦無しに私達を襲ってくる。

「ねえ、レン。ボーカルスキル、たまには使ってみない?」

「沢山あるけど、どうするんだ?」

「う~ん、手当たり次第に使おう!まずは『人狼狂死曲』どう?」

私達は、ボーカルスキルを使って悪UTAUを蹴散らす。
この歌を歌っている時は私達は狼だ。
総てを食らう。狼だ。

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クオ視点

「ミクも頑張ってるようだから…俺も頑張らなきゃな!」

俺は、とりあえず銃弾を確認して、悪UTAUに銃口を向ける。

「俺達亜種だって、歌は歌えるけどな、お前らは耳がないみたいだから、どうせ聞いちゃくれないだろう…でもな、俺にはこれをする抵抗はない。お前らを…撃ってやる!」

総ての銃弾は悪UTAUに命中する。
俺は…躊躇わない、悪UTAUを撃つ事に。

オリジナルUTAUやあいつだったら…躊躇ってしまうかもしれないが。

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ルビア視点

「さぁて、貴方達は、どんな裁きを受けたいかしら?」

「る、ルビア様…少し怖いです…」

「あら、そう?とりあえず、ユアちゃん達を悲しませる子達には、おしおきしないといけないと思ったのよね~。それに、リオの一目惚れ初恋も応援してあげたいのもあるのよね~」

「ルビア様、初恋とか一目惚れとかじゃないです。ただ、私はあの女の子が、少し悲しそうに思えて…」

「いいのよいいのよ、そういうのは、私達は神に仕えるものだけど…いつかは、そういう思いを感じるときもあるのよ…!」

「る、ルビアさま、ですから…」

「ここは私とマキに任せなさい♪リオは、早くあの子を迎えに行ってあげて」

「…はい」

「マキ、いけるわね?」

「うんっ!兄さんの事も応援してあげたいし、僕も協力する!」

「マキまで…。まあ、私は、あのルゥネという少女をすくいに行きます。ルビア様…マキ。ここは、お願いします…」

「了解したわ」

「いってらっしゃい!兄さん!」

貴方はきっと、あの子を助けてあげられる…。
この戦いでは無理でも…きっといつか…。

続く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

歌姫戦士ボカロボット第46話前半

あれ?前半後半にしてもこの回じゃ終わらない気配が…。
はてさて、悪UTAUとの戦いもいよいよ大詰めです!
でもボカロ3とか出してないので悪UTAUが終わってもまだまだあります。

閲覧数:91

投稿日:2012/10/10 17:52:35

文字数:3,765文字

カテゴリ:小説

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