【二人を繋ぐ紙飛行機 ―囚人― 中編】
次の日も、僕は彼女を待つ。
来る保証はない。
すでに何度も、看守には見つかっている。
日に日に増えていく痣に、体が重たい。
……それでも、君に会うためならば。
この重たい体を引きずってでも、君に会いたい。
ふと、視界の端を白い物が通過した
――紙飛行機。
柵の外を見ると、君が笑っていた。
「やっと……話せたね」
僕も、彼女に笑いかける。
頬が痛い。
『怪我が、痛そうだわ。大丈夫?』
少女の手紙は、とても繊細な字で綴られていた。
『いつも会ってくれて、ありがとう』
部屋の中、手紙を見ながら。
僕は彼女の笑顔を、思い浮かべる。
自然と、僕も笑顔になれた。
『いつか、きっと外に出られるわ。そうしたら、絶対にお話ししましょうね』
手紙に書かれた文字に、温かい気持ちになる。
幸せだと、思った。
「……僕も、君と話しをしたいよ」
手紙を胸に抱えると、僕は呟いた。
外に、出られるなんて。
嘘だって、知ってる。
けれども。
君がそういうなら、もしかしたらもあるのじゃないかと。
本当に、僕はここから出られて君に会えるのではないかと。
君の言うことは全て、本当になる気がした。
初めて紙飛行機を送った日から、幾月か経った。
その日の彼女の様子は、おかしかった。
……最近送られてくる手紙にも、違和感を感じていた。
『遠くへ行くことになったの。もう、貴方とは会えないわ』
嫌な予感がしてその場で手紙を広げると、そんな言葉が目に飛び込んできた。
彼女は、柵の向こうで微笑んでいる。
『だから、これが最後の手紙よ』
「そん、な……」
『今まで、ありがとう。それから……バイバイ』
――手紙の端に、涙の跡。
僕は柵に近寄る。
君は、こんなに近くに居るのに。
僕がいくら手を伸ばしても、君には届かない。
「バイバイ」
今まで何度も会っていて。
初めて聞いた、君の声。
想像していたよりずっと愛らしい声で、君は別れの言葉を口にする。
「待って……!!」
ぐしゃりと、僕の手の中で彼女の手紙が潰れる。
「待つよ! いつまでも、待ってるから……!!」
手紙を握る手を、高く上げた。
看守に見つかっても、構うものか。
「手紙を、大事に、なくさずに居られたら……また、会えるでしょう……?!」
初めて会った頃と、同じ。
少女は、無言で微笑んだ。
彼女は僕に背中を向け、歩き出す。
「また、会えますよね……!!」
彼女の背中が、小さくなっていく。
その姿が見えなくなった時、僕の頬には涙の筋が幾筋も流れていた。
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