てのひら
記憶のすみ 思ひ出を ふと漁る でも見つけ出せない
時の波に 消されゆく 昨日までの 私の足跡
樂しかった その氣持ち それだけが 胸に殘り
街中で 重ね合へど 互ひに氣附かぬ 影と影
在(あ)りもしない"不變(えいえん)"を 搜した日も 忘却のかなた
今 あの時に戻れるのなら 右の道を選ぶだらう
なつかしい 雨の音も 鼻に殘る 土の匂(いろ)も
どことなく 湧いてきては 知らず知らず 身をくらまし
旅の果てに 見た答へも いつの日か 塗り替へられ
壞さずとも いづれ朽ちる 思想(おもひ)さへも 避け得ぬ定め
手放すまいと握る程に 深く傷附くる 愛しき鑛石
望んで誰かに贈れた時に 枷(かせ)が全て落ちるのだらう
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