僕は火なんて吹けないけれど 強い毒を持っています
こんな有害でしかないモノ いらなかったのにな
友達とか欲しいけれど どうせ誰も来やしないし
来たとしても向けられるのは 敵意ばかりだし
全くもう 憂鬱だなぁ・・・


ある日 一人の女の子が僕の所に迷い込んできた
母の為に薬草を探しに来たようだ 僕に怯える母親思いの優しい子
「大丈夫だよ 僕は君を食べたりしないから」
伝えたい でも伝える術なんて持っていない
僕は所詮巨大なトカゲでしかないもの 人の言葉を喋るのは難しいんだ
僕がどうするか決めかねている内に 女の子はいなくなってしまったけれど
崖を見上げてしょんぼりした様子で帰って行くあの子を見かけて 僕は決心しました

僕は人語なんて喋れないけど 空を舞う術は持っています
崖に生えた薬草を持って あの子の元へ
舞い降りた僕に君は怯えたけれど 僕が薬草を差し出すと
戸惑いながらも受け取って 逃げるように帰って行った
全くもう 憂鬱だなぁ・・・


この間の女の子 今度は二人でやって来た
勇気を出して 僕にお礼を言いに来たらしい
それでもやっぱり怖いから 男の子も連れて来た
「この間はありがとう これ 君にあげる」
そう言った女の子が差し出したのは様々な色の花冠 僕は恐る恐る手を伸ばす

言葉と剣が僕を貫く
「この怪物は君を騙して喰らうつもりだ!信用なんてするんじゃない!」
僕の毒を含んだ血液はあの子の落とした花冠を溶かしてしまった

僕は火なんて吹けないけれど 強い毒を持っています
持っていてもいい事なんてあった覚えはないけれど
友達とか欲しいなんて やっぱり高望みだったのかな
流れる筈のない涙が 頬を伝って落ちた気がした
全くもう 憂鬱だなぁ・・・


僕は泉に身を横たえる 猛毒の血が泉に流れて泉が"アカ"く染まって行く
僕は"アカ"を睨み付ける
こんなものいらなかったのに 孤独なんて望んでいないのに
僕は独りになるしかないの?
全くもう 憂鬱だなぁ・・・
僕は瞳を閉じました


僕の頬を誰かが触る感触
ゆっくりと目を開ければあの子がそこにいた どうやら僕を探しに来たらしい
僕はゆっくりと体を起こす
君はちょっと驚いた風だったけど 僕の顔に抱きついた

僕は答える術なんて持っていないから じっと瞳閉じてみた
僕の冷たい鱗に伝わるその体温は・・・



僕は<憂鬱ドラゴン>

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

憂鬱ドラゴン

ひとりぼっちのドラゴンととある少女の物語

初投稿です

閲覧数:97

投稿日:2013/04/20 03:56:22

文字数:1,003文字

カテゴリ:歌詞

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