今日は近所で小さなお祭りが開かれる日だ。
俺は今からそのお祭りに、グミを誘いに行こうと思う。
本当はもう少し前に誘おうと思ったんだけど、タイミングが合わなくて誘えなかった。
……決して俺がビビッて誘えなかったわけじゃないからな。
タイミングが、タイミングが、合わなかっただけなんだからな!!
そんな事を思っていたら、声をかけられた。
「あれ、レンじゃん。」
この声は…
「リント…。」
最悪だ。
「レン1人?グミちゃんのこと誘いに行ったんじゃなかったのか?」
「な、なんでそのこと、」
「何でって…リンが『ヘタレンはこうでもしなきゃ誘いに行かない』って言ってたから、面白そうだと思って、様子を見に来たんだよ。」
リントのやつ、馬鹿にしやがって。
「…余計なお世話だっつーの。」
リンのやつ、リントに余計なこと言いやがって。
誰がヘタレンだっつーの。
「まぁ、頑張れよ。」
そう言ってリントは行ってしまった。
…俺もグミのとこに行かなきゃな。
グミの家に着いた。
少し緊張する。
震える指でインターホンを鳴らす。
「はーい。」
グミの声とパタパタと足音が聞こえる。
「グミ、一緒にお祭りに行こう。」
ドアが開いた瞬間、何回か練習した台詞を言った。
「…え、お祭り?」
「あぁ。」
「うん、行く!準備するから上がって待ってて。」
「わかった。…おじゃまします。」
断られなかったことに、少しホッとした。
「レン君、お待たせ。」
「じゃあ行く…、」
振り向くと、金魚の柄の浴衣を着ているグミがいた。
いつもと違うその姿に見惚れてしまった。
「へ、変、かな?」
「い、いや、すげぇ似合ってるよ。…綺麗だ。」
もっと気の利いたことが言えないのか、俺は。
ありきたりなことしか言えない自分に苛立ってしまう。
「そ、そう?えへへ、ありがと。」
でも、そんな俺の言葉にグミは喜んでくれた。
「じゃあ、行くか。」
「うん。」
「あ、レン君。見て、金魚。」
「お、ホントだ。」
グミが指を指した方向を見ると、金魚掬いがあった。
「やってみるか?」
「うん。」
金魚掬いなんて簡単だろう、と思っていた俺が甘かった。
「あ!また破れた!」
金魚掬いは、予想以上に難しかった。
これで破れたのは、3つ目。
そんな俺に対してグミは、
「やった!5匹目!」
かなり得意らしい。
…なんか悔しい。
「おい、グミ。そんなに金魚どうすんだよ。」
「大丈夫、ちゃんと家に金魚鉢あるから。」
そう言ってまた金魚掬いを再開した。
俺はこれ以上やっても無駄だと思い、グミのことを見ることにした。
……お、あれで12匹目だ。
おっちゃんが少し焦り始めた。
つーか、どんだけでかい金魚鉢なんだ。
ちゃんと入るのか?
「破れちゃった…。あと1匹で30匹だったのに…。」
心なしか、おっちゃんがホッとしてる気がする。
「グミ、1回金魚置きに帰るか。」
「そーだね。」
グミが金魚掬いでとった金魚を全部金魚鉢に移し終えた。
でっかい金魚鉢が2個あった。
「今日、金魚に囲まれる夢見そう…。」
「え、何で?」
「金魚掬いとグミの浴衣で…。」
「あ、確かに金魚がいっぱい。」
「今気づいたのか。」
「でも、私は金魚が好きだから喜んじゃうかも。」
「…マジか。」
俺は生臭そうで嫌だな…。
ま、グミが楽しんでくれたからいいか。
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