私は木陰に椅子を置いて
弟の試合が始まるまで
宗教の教科書を開いた
まるで蒸し暑い
夏草の臭う日であった
空色と言うに相応しい風景
光る空のそこは
日光を呑んで
照り返るような透明な緑だ
奥の木立のビロウドが綺麗だ
目の前の試合は1-0で
しばらく膠着している
ああ今黄色のチームが追いついた
ゴールを決めた一人に
皆か群がって
緩んだような時間だ
今彼らは人生に刺繍を施そうとしている
私がそのような
グラウンドの群青を確認した時
吹きやんでいた風が
再び吹き出した
木の葉の隙を縫う光が
私の膝の影を揺らした
奥山は涼しく茂り
遥かに煙突は屹立する
遠くの声 遠くの声
号令をかけるその声だ
(いつだって ここは賑やかだ)
グラウンド横の白詰草の上
エーテルが仄暗く舞っている
不意に芝生がいっぱい煌めいたらしい
そしてグラウンドに入る
二十二の黄色と青とは
めくるめくそらのもとです

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

グラウンド横にて

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投稿日:2017/07/02 16:42:44

文字数:395文字

カテゴリ:その他

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