『死に空』


花を愛でる心失く
ただ一冊を持って
我は往く

何を求め 何を捨て
引く一線の如く
定まらず

死にたがりやの末路は
遠く遠くの燕に似て
当て所無くただ踊って
何も無いまま放たれゆく
それだけだ

転がる悲願のその中に
一人佇む馬鹿が居た
赤く紅く朱(あけ)た限界(しあわせ)に
流離う空虚とその渦へ
甘く寝そべり拿捕されて
言って云って逝けば ただ僕は
返す理由すら忘れていた


足を止(とど)め 目を瞑る
欠く一心に問いて
覚束ず

暴かれたがり しくじり
上手くいかずに知ったかぶり
我が物顔で ゆらりと
何も持たずに彷徨いゆく
それすらも

遍(あまね)く揺さぶり翻す
ぽつり呟く愚図の君
立って経って正す猥雑は
不安の果実に齧(かぶ)り付く
ついと滴る恐怖の美
蒼く青く仰ぐ未知数(ふかのう)に
無関心のまま立ち尽くす


花を愛でる心失く
ただ一冊を持って
我は往く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • オリジナルライセンス

『死に空』

色々あった。

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投稿日:2013/07/20 02:00:43

文字数:398文字

カテゴリ:その他

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