マネージャーであるシンディからの電話で
母と父の死は真実だと知ってしまった二人。
二人は部屋に戻って塞ぎ込んでしまった。
愛しているものの死は二人の関係を
冷え切ったものにしてしまうのだろうか。
部屋に戻って泣き疲れた少女。
気持ちはまだ落ち着かないが、泣いてもどうにもならないということを
無意識ながらに感じてしまったのだろう。
実母をすでになくしている姉にとって二人の死は
とても衝撃を与えたのだろう。
どんなときも冷静なあの姉が取り乱して、
逃げるように部屋に飛び込んだのだから。


　少女は姉のことが心配になって隣にある姉の部屋を覗きにいこうと思った。まだ小さい少女は姉のことが心配という気持ちもあったが、
母と父がなくなった今誰かの愛情を感じて甘えたかったのだろう。
その選択が間違いとも知らずに………
姉の部屋をあの時覗かなかったら、少女は幸せに暮らせただろうに………


部屋の布団から抜け出して姉の部屋に向かっている最中、少女の耳にはこんな声が届いてしまった。

「どうしてっ、どうしてなの。ねぇ、みんな私を何故置いてくの？
瑞歩母様だけでなく父様まで置いてかないでよぉ。
あの子、アリスが悪いの？
アリスが父様とフェリシア母様に会いたいって
言わなかったら二人は死ななかったんだもの。
そうよ、すべてはアリスが生まれたときから狂ってしまったもの。
私と父様は親子だけど、私とフェリシア母様や、
父様とフェリシア母様は他人だった、
だからでこぼこ家族としてやっていけてたのに……
他人同士だった父様とフェリシア母様は
アリスが生まれたことにより夫婦になってしまった。
私だけが家族じゃないのよぉ。
アリスが憎い、憎いわぁ。
あの子なんか死んでしまえばいいのに!!!
ねぇ、父様とフェリシア母様を返してよ。」

その声を聞き、少女は姉の部屋の前で倒れてしまった。
そして彼のいる夢の中へといざなっていく。