あんどろいど。
元々は身体障害者のための“機械のカラダ”。
しかし次第に体を強化するための一要素とみなされるようになり、ついに○○年、全身機械化技術が確立された。そして“機械のカラダ”は製作者によって儀体と名付けられた。
儀体が発表されるとすぐに脳パックという搭乗方法が開発されて、“機械のカラダ”は世界に知れ渡ったのである。
儀体は優れた代物だった。
儀肢の延長というだけだけではない。燃料交換は必要なく環境汚染物質も排出しない、まさに“夢のような”動力機関を搭載していた。
あるとき、初号機に心停止の患者が搭乗し一命を取り留めた。その記事はすぐに情報の海に放たれ、世界中の人々を驚嘆させた。
しかし、問題は山積みにも程があるだろうというものだった。
第一に製作に莫大な資金を必要とし、第二にひどく手がかかる上、第三に汎用品がつくれなかった。
最先端最新鋭しかも特殊その上多方面の技術を応用推測矛盾させまくって、それでもなんとか絶妙なバランスの上で作っていたのだ。
それだけではない。一時話題となったかの“夢の動力源”というのが、とんでもない代物だったのだ。開発のある段階からたった一例だけの実用例まで、学会の発表の時や世界に発信した映像の中の儀体も、同一の“あるもの”を付け替えはめ込んで違う個体のように見せかけた着せ替え人形だったのだ。
そのあるものとは、EUのとある研究者によってその存在が確認されたばかりの生物が産出する、超超超ハイエネルギー物質であった。
その名も、「龍の焔」という。
名が表すとうり、地球最大の爬虫類のイノチのカケラである。
地中深く、マグマまであと何キロかという灼熱の地に生息する龍の燐火。当然だが、簡単に手に入るものでは決してなかった。それを入手できるのは6人しか残っていないというある民族の長ただ独り、そんな状況である。
開発チームがそれを手に入れたのはある種の奇跡といっても過言ではない、そんな代物なのだ。
つまり儀体は、半永久的とはいえまず手に入らない動力源と矛盾とこじ付けの寄せ集めとしか分析できずしかも汎用版も作れないボディでできた、「出来損ない」だったのだ。
ゆえに儀体は一世を風靡することもなく、一部の研究書に「無理な代物。諦めたほうが身のため。」という注釈つきでしか残されたのであった。
そう、その日までは。
ある日、歌姫が現れたのである。
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