【再びワカメの国へ編】
………
此れで私の物語は終わる筈だ。
しかし、
私は、また、ワカメの国に呼び出されてしまったらしい。
私は夫の病状が良い方向へ向いている事に些か希望を持ち始めていた。
此れなら又遣って行ける!
其う思居ながら私は自家用車を駐車場に置き、車から降りた。
其の時、何か匂いがした。
匂い。
何か嫌な事を思い出させる匂い。
何だろう。
其れを考えようと頭の中でシナプスからシナプスに情報が渡った其の瞬間、
時が止まった。
え、此れって…。
例の如く又体が動か無い。
あの時フランジェリムさんが現れた其の場所の草むら辺りにウネウネと空間が乱れた。
そして又、フランジェリムさんが現れた。
ああ、何て事、2回目。
いや、しかし、アレはフランジェリムさんか?
随分と表情が険しいが。
何か、「迷いご案内所」の引継ぎで問題があったのだろうか。
フランジェリムさんが此方に向かって来る。
「こんちくわ」
「こんちくわ」
こんちくわ?此れ又変な挨拶だ事。
「ごめんに、又呼び出す様な事になっちゃって」
「どうしたんですか?仕事の引継ぎで問題ですか?」
と言っても私が引き継ぐ様な仕事何て存在しないと思うけれど…。
いや、私が何か引き継げるほどの仕事をしたかというと、そんな事はなかった。
だから、そんな問題など起こりっこない。
思えば、フランジェリムさんに迷惑をかけてばかりだった。
「ううんと、引継ぎではないのだけれども、ちょっとこさ頼みたい事があるんだ」
「はい?何ですか」
内心私は嫌だった。
私は是から現実世界で頑張っていくのだ、希望も見えて来た所なのに。
しかし、お世話に成ったフランジェリムさんだ、そんなきっぱりぷっつり関係を終了何て出来っこ無い。
「此れ、此の紙を持ってお城に行って欲しいの」
私は何やら紙を渡された。
びしょ濡れだ。しかし、破れそうも無い。
魔法の紙だ。
海の中である、ワカメの国では此の魔法の紙は可也貴重な品だった。
私は、嬉しかった。
何故ならお城に行けるから。
私も女の子だ。
お城に其れなりの憧れを持っている。
私がワカメの国で仕事をして居る時も行く機会が無かったから行けなかった。
「分かりました」
私は一瞬にして、気持ちが裏返った。
行く気満々に成った。
「是から若布の国に向かうけれど、用意は良い?私はあんたと一緒に行けないけれど兎に角お城に行って来て女王様がどうしてもあんたに話したい事がある
んだって。ほら、あんた人間でしょ。ワカメの国では珍しいから其れを生かした仕事があるんだって、勿論短期のアルバイトだから。私は迷い子案内で凄く忙しいから」
「え、女王様からの仕事?どういう事ですか?」
私は女王様と聞いて少したじろいだ。
「兎に角行けば分かるから。じゃ」
「ちょまっ」
グッ
私は引き込まれた。
再び夢の国で有り妖精の国でもある、ワカメの国に。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

第九章 正し過ぎた人 畑広美

彼女はフランジェリムさんに連れられて、再びワカメの国に行く。
しかし、彼女は、気付いて居無い。重要な事に。
広美!ちゃんと顔を見て!相手の顔を!少し変だと思わ無い?
気付いて!
※小説「ワカメの国」は現在「KODANSHA BOX-AIR新人賞」に応募中。
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Yahoo!版電子書籍「ワカメの国」は此方
URL:http://blogs.yahoo.co.jp/wakamenokuni
です。

閲覧数:75

投稿日:2012/02/14 03:21:28

文字数:1,203文字

カテゴリ:小説

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