夏の暑さが本格的になり猛暑が続く8月。

青く澄み渡り、入道雲が広がってカラリと晴れた空を見上げて、日光の眩しさに額に手を翳して目を細める。

夏休みも始まり、うだるような暑さの中暇を持て余した人々がごった返す街道の木陰へと移動して一息ついた鏡音レンは見慣れた後ろ姿を見付ける。

あの後ろ姿はレンの片割れの双子の姉のボーカロイドである鏡音リンにそっくりだった。

しかし、自分の相方のリンはアイスクレープを買う為に列に並んでおり、買い物に付き合わされてレンはリンが買った品物が入った荷物の番をさせられていた。

どこかよそのマスターが所持しているリンだろうと、そのリンから視線を外してベンチに腰かけて休憩がてら、荷物の番をする。

ふと、ジュース屋の前にいたよその鏡音リンと目があった。

その鏡音リンはレンのところへとパタパタ走って近付いてきたと思った矢先に、手を握られて話かけられる。

「ねぇ、あなた一人なの?何処の鏡音レン?」
「何処のって言われても個人情報を軽々しく漏らすわけないだろう」
「私のレンと違ってあなた、冷静なのね」

なんだか言い回しが怪しくてレンはつい聞き返してしまう。

「私の?」

「そ。私は私のレンと一緒にいて、はぐれちゃって探してるんだけど、見かけなかった?」
「いや……」
「そう…。どこいっちゃったのかしら」

そういって「ふぅ…」と ため息をつくリンは自分の姉のリンと違って、仕種も話し方も全てが女の子らしくてたおやかだった。

うちのリンにも少しは見習って欲しいものだ、などとそんな事を考えながら、リンを待っている間の暇な時間を潰す為に気怠げに頭の後ろに腕を組んで寝に入った。

隣にすとんと腰を下ろしたよそのリンはレンの寝顔をのぞき込むように見ている。

瞼を閉じているのだか、それでも気配と視線を感じて寝付けなくなったレンが目を開けると そのリンは目の前にまで迫ってきていた。

「な、なな、なんだ?俺に何か用でもあるのか?!」
「あら、たぬき寝入りだったの?残念ね」

なんでもないようにそう答えたリンはなんだか艶っぽいように見えてドギマギする。

自分の姉のリンにはない、怪しげな雰囲気と艶っぽさにビビったレンは後ずさりしてベンチの端にまで荷物を手にズルズル逃げをうった。

「そんなに怯えなくってもいいのに!」

頬を膨らませたそのリンはベンチから立ち上がって、ずり下がって端にいるレンの腕を取った。

「な、なんだよ、用がないなら気安く俺に触るなって!」
「あなた見かけによらず潔癖症なのね?そういうストイックな男の子って好きよ私」

そう言って うふっ と笑うリンを見て鳥肌が立った。

自分が知っているリンは男勝りでぶっきらぼうで女の子らしさなどかけらもなさそうなワイルドさが売りみたいな奴だったから。
同じ鏡音リンでありながらこうも性格が違うものなのか、とさっきまでは暑くてしかたがなかったのに途端に気分的に寒々しくなってしまう。

こんなイっちゃってるリンは見ていて正直気持ちが悪い。

そう思いながら肩を抱いてガタガタ子羊のように震えていたら自分にそっくりな声が反対側の街道から聞こえてきた。

「リン!いきなりいなくなるからびっくりしたよ!こんなところにいたのか!」

そういいながら何処のマスターの鏡音レンか知らないが、そいつが横断歩道を渡ってこちらにかけてきた。

「わぁぁん!レンー!一人ぼっちで寂しかったよぅ!」

そう甘えた声で言ってさっきまで俺に迫っていたリンが何処かのレンに抱き着いて泣きじゃくる。

そんなリンの背中を摩り摩り、宥めるように抱きしめ返すレン。

端からみていて正直気持ち悪い。

あとこのリンの変わり身の速さが怖い。

さっきまで自分に迫ってきていたのに、このレンが駆け付けてきた途端に甘えた声で弱々しくぶりっ子して猫を被るあたり、うちのリンの数倍上手だと思ってさぶいぼが立った。

女って怖い!!!

感動の再会を十分に堪能したらしいそのレンとリンは公然といちゃいちゃとし始める。
リンが背後からレンに抱き着いて甘えて、抱き着かれたレンが情けない笑顔でデレデレとしながら頭をかいて照れている。

た、頼むからどっかよそにいっていちゃついてくれよ!!!

レンのそんな叫びも虚しく、目の前で繰り広げられる二人のバカップルぶりに頭を抱える。

そんな中やっと自分の番が来てクレープアイスを買えたリンが両手にそれを手にしてレンの元へと歩いてきた。

「よお!待たせたな!」

そう言ってズイッとバナナアイスが入ったクレープをレンの眼前へと付き出した。

「リン!おせーよ!やっぱり俺にはお前が一番だ!」
そう言ってあいた方のリンの手を握ってくるレンを見てリンの顔がカアーッと赤く染まった。

「な、な、おまっ、いきなり何言い出すんだよ、気持ちわりい……!」

そう言って握られた手を引きはがしたリンを見てレンは公然といちゃついているよそのリンレンを黙って指さした。

指さされた方向を見たリンは手に持っていたみかんクレープアイスをぼたりと地面に落としてア然とする。



「れんvすきぃーーvv」

「いやぁまいったなぁぁーv」

背後に抱き着いたよそのリンをそのままに歩き始めたよそのレンを見てリンがブルブルと身震いをしいた。

「おまえら公然といちゃつくんじゃねえぇぇぇーーー!!!見てるこっちが気持ち悪くてさぶいぼたつんじゃぁワレェーー!!!!」

リンが大声でそう叫ぶ怒声が暑い真夏日の空へと響き渡っていったのだった。

-了-

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

似て非なる鏡音


★鏡音リン:強気で男勝りな口がちょっと悪い女の子。
女の子らしいミクと違っていつもワイルド&パワフル!
弟分のレンを何かと、こき使ったりいぢめたりするのは愛情の裏返し。
思春期真っ最中の素直になれないあまのじゃく乙女。

★鏡音レン:リンの双子の弟で何に対しても基本的に無気力無関心な脱力大好きっコ。
何事もなくのらりくらりと日々を送れればいいというよくいる今どきの少年。
できるだけ何もしたくないのに、いつもわがままであまのじゃくな姉のリンの暴走に嫌々付き合わされ、振り回されている。

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閲覧数:271

投稿日:2009/09/03 09:16:36

文字数:2,319文字

カテゴリ:小説

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  • 香夜 流歌

    香夜 流歌

    ご意見・ご感想

    ●ちゃんのリボンがリメイクとかWWW

    リボンがデコに盛り付けてあるみたいに結んであるとかマジで僕的にありえんしWWW

    ●ちゃんのリボンカ●フルとかWWW

    新●ちゃんの頭の中身がお花畑なんですね!

    わかりますWWW

    ぷげらWWW

    2009/09/03 20:51:16

  • 香夜 流歌

    香夜 流歌

    ご意見・ご感想

    ぷげらWWW

    2009/09/03 13:24:23

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