「あーそれ!あっそ!」
祭りの音楽や、踊る人々の掛け声で溢れている町。僕はこんな国が大嫌いだ。
燦々と降り注ぐ真夏の日差しの中、踊る人々を横目で睨みつけながら僕は歩く。
「おおー!クフェア君!1人でどこいくんだい?」
酒に酔った近所のじいさんが手を伸ばして話しかけてきた。
うるせぇな。酒くせぇんだよ。話しかけんな。僕はそう思いながらも、作り笑顔を浮かべる。
「おじさん、こんにちは。今は買い物に行こうと思って」
嘘だ。買い物なんかおばさんに任せてる。むしろ、買い物に行きたいとすら思ったことない。今日は、この国の外に行きたいんだ!
「そうかい!えらいねー!」
じいさんが僕の頭に右手を置き撫でる。
子供扱いすんじゃねぇ。もう僕は10歳だ。10歳で成人、正式な大人になれる国だってあるんだぞ!
「うん!じゃ、いってきまーす!」
面倒くさいじぃさんを乗り越えたら、また歩かなければいけない。これも、全部自分で決めたことだ。
しばらく歩いていると、国の外に出るための門があった。
「この国もこういうとこはしっかりしてんのか」
関心と衝撃が僕を襲う。でも、こんなところで止まってるわけにもいかない。あと一歩で、この国から出られるんだ。
「そこの坊や、何してるのかな?」
警備員か。いかにも悪そうな顔をしてる。きっと、誰一人外へ出すな、無理やり出ようとした奴には容赦なく行け、とでも命令されているのだろう。それくらい僕にもわかる。この国は、他国との関わりを自ら断ち切っているのだから。
「おじさん、ここはどこの国?」
他国から迷い込んでしまった男の子、的な風に演じていれば、こういう奴らには大体勝てる。
「ここはねぇ、ルビーの国って言って、ルビーを国宝石としているんだ」
知ってるよ。僕はここに住んでるんだもん。まあ、そんなこと言ったらきっと殺されるだろうから、どうにか騙してみる。
「僕ね、ローズクォーツの国に住んでるんだ。でも、歩いてたら迷子になっちゃって、どっちに行けばいいのかもわからず、何日か歩いてたらここに…」
僕の姿を見れば、きっと何日も食べてないようには見えないだろうし、まず、ローズクォーツの国とルビーの国では、人種が全く違う。今はこいつがバカかどうか確かめるだけだ。
「そうなんだぁ。僕、名前はなんていうの??」
クフェア・タイニー。とは言えない。言ったら最後、この国の住人だとバレるだろう。
「パパに個人情報は絶対、知らない人に教えちゃダメって言われた!」
パパなどいるものか。この警備員がバカだと話が早いんだが。
「そうかぁ。じゃ、門を出ていいぞ」
ふう。これで一安心。こんな国抜け出して、もっと経済発展してる国で裕福に暮らすんだ。
「と、でも言うと思ったか?クフェア・タイニー」
何!?バレてる!?いや、デタラメかもしれないどうにか誤魔化さないと!そう思い、慌ててしまった。動揺している僕を見て、僕がクフェアだと確信したのか持っていた槍を僕に向けてきた。
「ダメじゃないかぁ!外の国へ行こうだなんてぇーー!!」
上から槍の先端が僕を目指して降ってくる。僕はコンマ1秒迷わずに、避けた。後ろへ軽くジャンプ。だが、警備員も、諦めないようで、また僕に槍を刺そうとしてくる。
今度は、高くジャンプして空中で、奴の顔に回し蹴り一発。ここでこいつが死なないと、僕の悪事がバレるから、倒れところを狙い、降ってきた槍を手に取り、何回も刺した。
この国は砂漠なので、墓などいくらでも作ってやれるだろう。僕は砂の中へこいつを埋め、両手を合わせてから、門を出た。
ようやく大嫌いなルビーの国から抜け出すことが出来た。冒険はここからがスタートだ。
クフェア超短編 「ルビーの国から」
クフェア考案者のConyです!
結野舞弥@しゃちくったー様がクフェアとアウルム君の短編を担当することになったらしく、先日クフェアの短編を読ませていただき、感想を話させてもらいました。その時に僕もクフェアの話を書いてみようかなと思い、相談した結果、僕もクフェアの短い話を書くことになりましたのでこちら投稿します。
結野舞弥@しゃちくったー様のクフェア短編は改正版が後日投稿されるそうです!
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