現実に疲れていませんか?
真実が嫌になっていませんか?
そんなときは・・・“ココ”においでくださいませ。
人生に疲れた人のための、“不思議の国”へ。
深い深い森の奥。道なき道をずっと進んでいく。
・・・どれだけその者は歩いただろう。気が付けば底に大きな鏡があった。
なぜかその者は鏡と目があった気がした。
そのとたん、その者の口が勝手に動く。
「鏡よ鏡。ここは 不思議の国ですか」
鏡が赤く光り始めた。それは正体の合図。
その者は鏡に吸い込まれていく。
鏡の奥には、双子と思われる人物がいた。
双子の1人、女が問う。
「ここはどこ?」 と。
その者の口はまた勝手に動き出す。
「不思議の国ですよ」
「お入り。」
そう言われた気がして、その者はあたりを見回す。
さっきの双子はいつのまにやらどこにも姿が見えない。
気が付けばそこは、
まさに“不思議の国”だった。
いつか誰かが夢見たであろう、シンデレラのお城。
可愛らしい7人のガイコツの小人達。
池は美味しそうなオレンジジュースの色。
かわいい小さな小屋の屋根はカラフルな虹色。
空は吸い込まれそうなくらい綺麗な藍色。
全てが全て、絵本で見た空想のような、非現実的な世界。
服のすそを引っ張られた気がしてその者は振り返る。
「おいで。案内する。」
そこにはさっきの双子のもう1人、男がいた。
男は歌いながらそのものの手を引いていく。
「こ・・・は 楽・・・ こ・・・に来た・・・ も・・・る・・・は でき・・・い」
声が小さくて、歌詞が聞き取れなかった。
男に案内されたのは、大きな大きなお城。
城の中に入り、大広間へ行くと、さっきの女が座っている。
「いらっしゃい。ごちそうする。」
女は指を鳴らした。そのとたん目の前に見たことも無いご馳走が並んだ。
まるで魔法のように。
食べている間、女は歌を聞かせてくれた。
「・・・こ・・・ 天・・・ ・・・こ・・・・・・・・・ら ・・・ど・・・事・・・ ・・・・・・な・・・」
音楽が大きすぎて、歌詞が聞き取れなかった。
食べ終わった後、男と女がショーを見せてくれた。
ガイコツや操り人形だけの奇妙なショー。
なのに、その者は見ているうちにだんだん心惹かれていった。
その者は、どんどん溺れていった。
普段の日常ではありえない事ばかりのこの世界に。
そして、誰にも邪魔されず自分の思うがままになるこの世界に。
酔いしれて、酔いしれて・・・その者はいつからか「現実」というものを忘れていた。
そしてふと気づいた。ここに来てからかなりの時間がたっていることに。
そろそろ帰らなくては、とその者が男と女に告げる。
「どうして? ここが・・・あなたの帰るところでしょう?」
女が不気味な笑みを浮かべて近付いてくる。
その者はその不気味な笑みに不安を覚え、気が付くと走り出していた。
鏡を探して。必死に。
しかし、いくら探しても、鏡が見当たらない。
ついに、行き止まりに当たってしまう。
「言ったでしょう、ここは楽園、そして天国。ここに来たら戻る事はできない・・・と。」
男と女が歌っていた歌を思い出す。
体中が震えだした。
「 も う 、 帰 っ て も あ な た の 事 な ん て 誰 も 覚 え て い な い わ 」
「 今 戻 っ た ら 、 ま た い つ も の 生 活 に 戻 っ て し ま う 。 」
次々に誘惑の言葉が聞こえてくる。
どんなに強く耳をふさいでも、どんなに大声で叫んでも。
その声は、嫌なほど耳にまとわりつく。
・・・そして、その者はゆっくりと瞳を閉じた。
「永遠に甘い夢の中でお眠り・・・。」
女は静かにそう言った。
「ねぇ、見て。」
男が言う。
(ギセイシャ)
「また、新しいオキャクサマが来たみたいだよ・・・・・・。」
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