隣の猫に骨格標本取られた
魚病学の宿題だったのに
風に当てようとベランダに出したのがまずかった
地上二階の高さなんて奴らにとって何の障害にもならない

今が旬のアジ 特売一尾158円
合計三匹 うち二匹失敗した
二週間と十時間を費やして さああとは乾燥だけってところだったのに
骨だけの魚がそんなにおいしそうか

隣の人は意外と常識ある人で
猫同伴で謝りに来てくれたけど正直どうしろと
金じゃ買えないんだよ これで私の20点はパーだ
隣の猫に骨格標本取られた


野生のウミガメに調査用具取られた
十年モノの銀のノギス
創部当時から一緒に働いてきた奴なのに
ご機嫌斜めの母ガメにくわえられくちばしでバキッ

今年もやってきた 上陸調査シーズン
梅雨入りの頃 本年初遭遇
新入生もテンションあがって やっと研究サークルらしくなったねって
頭長を測ろうと首に向けた矢先

噛む力は強いって忠告してたのに
肉食だし身体もでかいから暴れるとハンパない
取り返しはしたが 哀れノギスはひび割れた
野生のウミガメに調査用具取られた


研究室泥棒に宅配便の小包盗られた
みんなが部屋を空けてるすきに
これで三度目だとうちの教授はカンカンだ
田舎だしめんどくさがりだからうちのメンバーは戸締りが甘い

全員の机の中身が漁られ
先輩宛のクール便の箱が消えた
でも金銭被害はほぼ皆無 “講座費”の封筒は私のいらん実験メモ
小包の中身は牛の血液とウ○コ

うちの部屋が検査を請け負ってたんだ
せっかくの菌が死ぬから厳重包装で送られる
財布は部屋の外 先輩の研究が遅れたけど
一言だけ言わせてね“泥棒ざまぁwww”

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

隣の猫に骨格標本取られた

事実は小説より奇なりと言いますが、本当にシュールな現実の出来事というものは起こりうるものです。

「研究室の試薬庫が臭い」に続く、限りなくノンフィクションに近いフィクション第二弾。まあまとめて言えば、「泥棒はいかんよ」ってことですね。

こんな詩が記念すべき100作目だなんて…。

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投稿日:2013/07/28 22:22:54

文字数:696文字

カテゴリ:その他

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