初音ミク視点
「え?もう少し地球に残るの?」
「うん、そうみたいだよ。まだノイズ君とかリウウちゃんの調子も良くないし…」
自分の部屋で準備をしていた私がララちゃんから聞いたまだ地球に残るという話。
私はすぐに出ると思っていて心の準備をしていたが、まだ出ないと言う事で少々ゆっくりして良いと思った。
「じゃあ、クオ君の様子でも見て来ようかな~」
「うん、じゃあ私はマイちゃんとかの様子見てくる」
そう言ってララちゃんはこの部屋を出て行った。
ララちゃんと入れ替わるようにしてクオ君が部屋に入って来た。
「あ、クオ君…どうしたの?」
部屋に入って来たクオ君に私は尋ねる。
「ミク、ユアさんから伝言。全員の調整とか健康調査をするからメディカルルームに来てって」
クオ君はそう言ってすぐに部屋を出ようとする。
私はクオ君の手を握る。
「?」
クオ君は不思議そうに私の方を見る。
「どうせなら一緒に行こう」
「…分かった」
*******************************
「これで全員ね?」
ユアさんは私達に尋ねる。
今から健康調査が始まるのだ。
「じゃあ、其処のマシーンに寝てね。チェックを始めるから」
そう言われて順番にマシーンに寝る。
私も近くのマシーンに寝転がる。
そういう感じで全員のチェックが終わった。
何だか途中で「さあ終わった人から訓練室に行こう!」とか言っている子(多分キリアちゃん)が居たけど…。
「よし…全員分終わったね。ノイズ君とリユウちゃんの調子も戻ってきたみたいだし。もうすぐエンジェ星に行けるわよ」
ユアさんはこう言った。
「は~い!じゃあこのビルを戦艦に変形させます!名付けて『エンジェルボイスター』です!」
メカニックの畑野実衣さんがそう言って突然地震の様に揺れが始まった。
「うわっ!」
「ちょっと!実衣!」
突然の出来事に驚く私とユアさん達。
実衣さんは結構行動派なんですね…。
そしてエンジェルボイスターは動き出した。
「エンジェ星へ向けて…発進だ!」
ユアさんのお母さんのミリさんは言う。
私達は…宇宙へ行くんだ…。
********************************
【ふふ、僕達の出番だよ】
【あ、ねえねえ。新しい子居るんでしょ?】
【ああ…立花サリナだ】
【…】
*******************************
「…」
私がメインルームへ行くと完全に酔っているのかだらけている人物が居た。
正体は鈴音ルル…。彼はこういうのに弱いのか、それとも何かあったのか…私には分からなかった。
「どうしたの?マイちゃん、ララちゃん、サウ君」
私は丁度近くに居たララちゃん、マイちゃん、サウ君に尋ねる。
三人はトランプをしていた。
「あ~…何かルルさっきの揺れでやられちゃったみたいでね~」
「そうそう!弱いよね~」
「全く…コイツは馬鹿か…あの揺れの中でも本を読んでたってさ…」
三人は順番にそう証言する。
私は「はあ…」と呆れていると、キョウちゃんが氷と洗面器と布巾を持って来ていた。
「ルル君は何かララちゃんに見せたい物がある―って言いながらこの本見てたんだよ」
キョウちゃんはそう言って料理本を見せる。
それを見た途端ララちゃんとマイちゃんとサウ君は固まる。一体何があったのだろう。
「あははは…料理するなら私に言えばよかったのに…」
「ルル君が…料理…ねえ…」
「…世界終わるぞ?」
「何か三人とも酷くない!?」
三人の言葉に私は驚く。
私の言葉にキョウちゃんは「うんうん」と同意しながら。
「そうだよ。ルル君も料理するんだ!って張り切ってたのに。あ!なんなら私も手伝うよ!」
キョウちゃんの言葉に更に三人は固まって。
三人ともその場から逃げていた。私には状況が全く分からなかった。
「?」
『お前逃げたほうが良いぞ』
ソウ君の声が聴こえた。多分キョウちゃんの意識の奥から話しかけているのだろう。
「あ、そうだ部屋に行かなきゃ」
私は用事を思い出して部屋に行く。
キョウちゃんはルル君を看ながら料理本を見ていた。
その時
『緊急警報!緊急警報!悪UTAUが攻めて来ました!』
実衣さんのオペレーションが聴こえてきた。
悪UTAU…か…。
『出撃命令。初音ミク、初音ミクオ、戯音マイ、戯音サウ、霊留キリア、鈴音ララ、光音キョウ、MEIKO、KAITO、GUMI出撃してください!』
「了解!」
そう言って私は格納庫へ駆けて行った。
私の体が透けていっているとも知らずに。
*********************************
「今回の悪UTAUは何!」
今回の出撃は宇宙空間。私達にとっては初めての場所だ。
私はレバーを強く握った。私はふとその手を見た。
私の手が透けている?そんな…そんな事…!
混乱する頭を私は頑張って抑える。
戦闘はすでに始まっている。
こんな事に時間を裂いてる暇なんて無い。
私はとにかく敵へぶつかって行った。
「ミク!連携行くぞ!」
クオ君が私に言った。
「あ、う、うん!」
私の技がワンテンポ遅れた。
「あ、ごめん外した!」
「大丈夫大丈夫って!」
「…」
(ミクの様子がおかしいわ…)
ユアはそう思っていた。
私は何も知らなかったんだ。自分の身に起こっている異変が。
「あっ!逃げられた…」
マイちゃんはそう言った。
「私達に勝てないって思ったんでしょ!」
キリアちゃんは自慢げに言う。
「でも…また次があるし…」
私は呟く。
その時物凄い激痛が私を襲った。
「うっ!」
「ミク!」
クオ君の心配する声が聞こえる。
「ああ!!!!!!!!!!ああああああああああああ!!!!」
苦しい、消える、私の手が透けてる!
消えるんだ。私が消えるんだ!嫌だ!いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!
「消えたくない…消えたくない…いやああああああああああああああああ!!!!」
「ミクうううううううううううううううう!!!!」
「ミクちゃん!」
皆の声が聞こえる。
ああ、聴こえるよ…暖かい声…なのに私の手、ぬくもりがなくなるよ…消えてなくなるよ!
『大変です!ミクちゃんの生命プログラム…それだけじゃない!全てのプログラムが消えていきます!』
『そんな!まさか…』
『消失…か…』
全部消えていく。
私が…。
続く
歌姫戦士ボカロボット第25話
やっと25話…。話が一部抜けた…まあそれは次回に持ち越しで。すみません。
次回予告
クオ「ミクの姿が…存在が消えた…。何で、何だよ消失って!俺にはわからない…何も…次回「消えた物」なんでだよ…」
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