いつも独りの嘘つきピエロ
嘘をつくのがお仕事だから
自分を傷つけてでも
大事な誰かを裏切っても
「ほら、痛くない」
嘘つきピエロはいつも独り
誰かにココロを見せることはない
だってそれは負けを示す
そんなピエロがある日出会った
真っ黒な服を着た少女
ピエロはココロ奪われた
少女はピエロに優しく微笑む
そしてこう言った
「私を殺してください」
嘘つきピエロは驚いた
殺してくれと言う少女のココロ
だってそれは絶望の証
ココロを揺らすピエロに少女は聞いた
ピエロにゆっくりと笑いかけて
ピエロを揺すった
「私を覚えていませんか?」
嘘つきピエロは死を知っていた
冷たくなった人の儚さ
切ないその様を見たから
いつか見つけたかったピエロの憎しみ
いつか奪われた命の復讐
少女に惹かれるのは運命
けれどピエロはこう言った
「いいえ、僕は殺さない」
ピエロが最後に見た少女はとても綺麗な笑顔だった
少女は嬉しそうに笑って
自分を、殺した
「ありがとう」
ピエロは嘘をつけなかった
ピエロはココロを少女に見せた
涙が一滴、ピエロの頬を流れ落ちて
嘘をつけなかったピエロ
そのココロには嘘がない
だから痛みを思い出す
ピエロは二回、少女に負けた
ピエロははじめて柔らかに笑う
「ほら、こんなに痛い」
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