「無意識」なんて言ったら可愛く聞こえるけど、
それって本当はとても残酷なことだ。
「俺がいなくなったら、リンはどうするの」
楽しいレッスンの最中に、まさかそんな一言を振られるなんて想像つくはずもないだろう。
案の定ぽかんと口をアの字に開いたままで、片割れは一時停止状態。
そのまま口角をあげて、どうやら冗談だって笑い飛ばそうとしたみたいだけど。
俺の顔を正面からみたら、それも叶わなかったらしい。
(まあ、冗談で済ます気がないんだから当たり前なんだけど。)
「いなくなったらって、そんなの。ある訳ないよ。」
「へえ、ないって言い切れるの」
「鏡音リン」と「鏡音レン」は対に作られたボーカロイド。
インストールされたその瞬間から削除されるその時まで。
人間でいうなら、文字通り「生まれてから死ぬまで」ってやつだ。
リンが言いたいのはまさにそういう事なのだろうけど、
残念ながら俺が問いたいのはそんなことじゃない。
「リン、全然分かってないね」
笑ったつもりだったけど、きっと酷い顔をしてるに違いない。
あるいは、かえって都合がいいのかもしれない。
彼女が内包する「無意識」が俺を苦しめるように、
リンだって、思い知って愕然として、そして傷ついてほしい。
俺たちは確かに一人で死んでいくことはできないけど
2人で生きていかなければいけない訳じゃないんだから。
「その時がいつかきたら、リンはどうするのって、俺は聞いてるんだよ?」
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