想い出花火

cure3

～想い出花火～

キミはいつもベッドの上で
絵を描く事が好きだったね
外の世界を眺める瞳

痛む体必死に起こし
見えたモノに触れては描く
そんなキミの姿
今でも浮かんでくるわ

あの日屋上で見た花火
キミは幸せそな顔で
私の手を取りこう言った
「ありがとう」

シトシト落ちる雨夏の知らせ
私の涙どうか隠して
頬を伝う『ソレ』ぺろり舐めて
立ち竦む夕暮れ

キミはいつも笑ってばかり
本当はすごく怖いくせに
強がるキミに私は惹かれ

文月にさしかかる頃に
キミはもう喋れないくせに
力振り絞り小さな声で
こう呟いたね

「君はいつもすぐ怒るけど
　本当はすごく優しい
　最後のお願い一つだけ
　僕を忘れて」

シトシト落ちる雨夏の知らせ
私の涙どうか隠して
頬を伝う『ソレ』ぺろり舐めて
立ち竦む夕暮れ

今は箸で掴めるくらいになった君と
見た大花火
今は独りで眺める暗い空
また遇う日まで