《1A》
開きかけの扉 覗いたのは猜疑の芽
あなたの仕草が 渇いた心を 焦がしていく
曇りがちな昼間 根付いたのは藍の種
館の中では 交わした言葉を 数えている
《1B》
私に見せた笑顔の宛名 本当は誰に向けたい?
傍らには 幼い頃から 離れずかしずく人
《1S》
私はただのかごの鳥 窓辺を飾る花
一滴の愛さえ 知らないまま
白い衣は恋と散り 揺れる果実は今
許されぬ感情に 色を変えてはじけた
《2A》
流れていく時が 迷いもなく背中を押す
がらんどうの意思が 黒い実へと手を伸ばす
絞り切れぬほどの 愛を込めて
眠りに誘う美酒を 届けさせる
忘れかけた息が 喉を滑りから回る
あなたの体は 目覚めることなく 朽ちていく
《2B》
主のいない 館で震え 何かに怯えている
変わらないはずの 日の光から 今日も隠れてる
《2S》
周りの目にはどう映る? 悲劇に耐える花?
ただひとり生きるわけを 示せぬまま
まとう衣はすべて染め 熟れた果実は今
偽りの愛称に 名を連ねた
私はただのかごの鳥 窓辺を飾る花
生きるだけの牢獄を さまようまま
白い衣は恋と散り 揺れる果実は今
もう二度と戻らない 色に変わりはじけた
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※採用を検討したフレーズたち
《1A》
「薄暗い館で 交わした言葉を 数えている」
内容としては「曇りがちな昼間」と呼応しイメージを具体的に表せているが、
4文字×4のリズムを崩したくなかったのと、
2行目「あなたの」、4行目「やかたの」で頭韻があって納まりが良いため不採用としました。
《1B》
「私に贈ってくれた笑顔 本当の宛名は誰?」
本詞4343のリズムの方が聞きやすく、よりAから続くリズムを引き継いでいると感じたため。
「子供の頃から 仕える人が いつもそこにいる」
音数が多く、音が小さく刻まれる本詞の方がサビに向けた加速感に適しているように感じたため。
《1S》
デモメロディ優先で言葉を選びました。
各行音数を減らす方向で統一しました。
《2A》
「背中を押し・がらんどうの意思は」
1行目と2行目の文を滑らかに繋ぐなら上記の方が良いですが、
緊張感を出すために各行の接続を断ってブツ切りにしています。
「黒い果実へ」
果実という単語はサビで多用しているのでここでは避けました。
《2S》
デモメロディ優先で言葉を選びました。
各行音数を減らす方向で統一しました。
「取り巻く目に映るものは 悲劇に手折られた花?」
心情として気が動転している場面なので、
長い1文よりも短い2文を採用しました。
「偽りの愛称に 染め上げる」
ここは本詞の「名を連ねた」をぜひ残したいと思いました。
このフレーズは単に主人公が「Ms.inkberry」と呼ばれるようになった事を示すだけでなく
「連ねる」という言葉から、歴代の館の主も愛称を持っていた事をうかがわせます。
歴代の館の主と同様に、夫亡き後の主人公も館の主として領民に認知されたのです。
主人公自身は、内心で罪の意識に苛まれ続けますが、
周りの人々はその罪に気付かずに平穏を取り戻している様子が表現できると思っています。
「生きるという牢獄を さまようだけ」
こちらの案を採用しても良かったと思います。
これらは物凄く微細なニュアンスの違いになると思います。
「だけ」という言葉を「生きる」につけるか「さまよう」につけるかですが、
「生きるだけ」は生命活動を行っているだけ、人間らしさを感じない雰囲気になり、
「さまようだけ」は「生きる」事自体に対する縛りは薄いように感じました。
『Ms.inkberry』
TamJENさんとのコラボ用歌詞です(。・ω・。)
http://piapro.jp/TamJEN
テーマは《嫉妬と後悔》
経過報告のため投稿 2014/08/01
歌詞最終更新日 2015/08/06
前の前のバージョンで内容解説を併記した物が見られます。
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