―俺にとって、君は特別で無くてはならない存在だった……君がいないなんて、考えられなかった

君が失くなって、
俺が無くなった



―その日、俺達は君の大好きな桜を見ながら、歩いていた。

昨日見ていた番組とか、君の家の庭に白黒のブチ猫がいるとか…なんでもない、ありふれた会話をして、二人で笑っていた。

「ねぇ、がくぽ。」

「ん、どうした?」

俺が聞き返すと、君は珍しく口ごもった。

「何だよ、俺に言えないことかよ。」
俺は、少し拗ねたフリをした。
…まぁ、少しだけ不安だったけど。

君はそんな様子を見て、微笑んだ。
そして、躊躇った後
「私、がくぽのこと大好きだよ…でも、別れて欲しいの。」

「何でだよ!」
どうして君が、そんなこと言うのか分からなかった。
軽くパニックになっていた。

君は泣きそうになりながら、
「ごめんね…」
って呟いた。

俺は納得いかなくて、言い返そうとして、君の腕を掴んだ。
その時、何か違和感を感じた。
(あれ?こんなに細かったけ?顔色も悪い気がする。)
まさか、って思った。
でも、確かめなくてはいけないって感じた。
「…もしかして、何か病気なのか?」

下を向いて泣いていた君の肩が、ビクッと跳ねた。
俺の不安が形を帯びてきた。
口の中が渇いてた。

「どうなんだよ?…」
とても不安で、声が震えてしまった。
最後の方は、聞き取りにくいほど小さくなってしまった。

君は泣きながら、すべてを俺に話してくれた。
「私…もう、長く生きれないの。…だから、別れて欲しいの……あなたの重荷になっちゃう…あなたの人生を邪魔したくないの……」
「本当なのか?」
信じられなくて、信じたくなくて、君の顔を見た。

君は何度も何度も頷いた。

君の震える肩が、とても弱々しくて、俺は君の身体を抱き締めた。

「俺は、俺は、君のことが好きだ。だから、君が病気だろうと関係ない。君が重荷になるわけない。だって、俺は君を愛してるから……」

「私、私もがくぽのこと大好きだよ…でも、いっぱい迷惑かけちゃうよ。」

「迷惑なんかじゃないから。君と一緒にいるよ…」



―穏やかな日々が過ぎていった。
君は日に日に痩せていった。
それでも、君は綺麗だった。


ずっと一緒に居たかったけど、遂に別れの時が来てしまった。

「ずっと一緒に居たかったな…でも、もう駄目みたい…大好きだよ、がくぽ。」
そう言って、君は目を閉じた。

悲しくて、君が居なくなるなんて信じられなくて、何度も何度も君の名を呼びながら、君の頬に触れた。
君は、おかしいくらいに冷たかった。
もう…君は僕と一緒に居ることは出来ないんだね……



―君がいない世界で生きてきた。
俺は君の声を忘れたくなくて、誰とも話したくなかった。

多分、それからだ。
―俺は少しずつ、でも、確実に狂っていった。


「お前、何かおかしくないか?」
誰かが、そう言った。
その言葉は、自分に向けれていた。
その言葉に賛同するように、周りが騒がしくなってきた。

俺にとっては、どうでも良かった。
だから、周りの奴らに病院に連れられても、抵抗はしなかった。

病院で
「あなたは、パラノイアです。」
って、言われた。

(何だ、それ?……まぁ、どうでもいいか。)
病気だろうと、俺には関係ない。

「パラノイアは~………」
医者は、勝手に話し始めた。

俺は、病院に入院した。
白い、簡潔な部屋。
真っ白で、窓から見える景色と俺の髪だけが、目立っていた。



入院してからだと思う。
君の姿が見えるようになった。
君はいつも笑っていた。
周りは君の姿が見えていないかった。
君を見ることが出来るのは、俺だけみたいだ。

俺は狂っていった。
でも、幸せを感じていたと思う。

だんだん『自分』が分からなくなってきた。
君はいないはずなのに、此処にいて微笑んでいる。
こんなにも、ハッキリとしたモノなのに、幻なのか?

俺は君のいる場所に近付けただろうか?

君は、こんなにも狂ってしまった俺を笑って受け入れてくれるだろうか?




―このまま眠らずに歩き続ければいつかは辿り着ける?
行く手に君の足跡が見える
もう戻れない
ボクハパラノイア―

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Paranoid Doll

この作品で10作品目です。
「Paranoid Doll」をリクエストされたので、書いてみました。
難しかったです。
本当に勝手な自己解釈です。すみません。

パラノイアは、偏執病(へんしゅうびょう)とも言う精神病の一種だそうです。強い妄想力がある以外は、常人と変わらないそうです。


期待に添えられているか分かりませんが、読んでくれると嬉しいです。

他にもリクエストあったら、言ってください。
期待に添えられるか分かりませんが、できるだけ書きたいと思います。



原曲のnatsu様 haku様、すみません。

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閲覧数:1,634

投稿日:2011/04/09 19:19:57

文字数:1,760文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • 禀菟

    禀菟

    ご意見・ご感想

    がくぽ病気か…
    でもヤンデレ大好きだからもっと病m(斬。

    よくまとまってると思うよ!
    文才ってどこに行けばあるの?

    2011/04/09 22:59:24

  • 檸檬飴

    檸檬飴

    ご意見・ご感想

    読ませて頂きました。
    書いてくださって、嬉しいです。
    悲しいお話ですね。
    また何かリクエストすると思いますので、その時はよろしくお願いします。

    2011/04/09 19:25:23

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