Overture
病室の眠り姫
静かな、真っ白の部屋。見渡す限りの医療機材。光が差し込む、明るい部屋に不似合いな少女が眠っている。
そんな白い部屋に入る看護師がいた。名札には『弱音 ハク』と書かれている。音に呼応するように少女が起き上がる。
「おはよう、レンカちゃん。」
「うん、おはよう。」
少女―レンカは弱々しく言う。
彼女は情緒不安定で妄想癖の持ち主だ。その為、普通の学校にも障害者の学校にも入ることが出来ずこの病院に隔離されているのだ。もし彼女が健全な少女だったのならば今頃中学生の筈だ。
そんなレンカはハクをとても気に入っている。だから他の看護師がこの病室に入ることが許されていないのだ。一度だけ『亞北 ネル』という看護師が入ってきたときがあったがその時レンカは暴れ出したという。
それ以来、ネルは彼女を恐れてしまい、この病室には一度も入っていない。
「今日はこの本読んであげるね。」
ハクによってレンカの楽しみの一つである読書が始まる。元々はハクの趣味から始まったモノだが繰り返していく内にレンカの楽しみの一つになったのだ。
「うん!!」
か細くとも元気のある声で返事した。
ありすノ姉ハ幸セナ羊ノ夢ヲ見ルノダロウカ?
それを知るのは===のみ…。
あるところに、小さな夢がありました。
誰が見たのか分からない、それは小さな夢でした
小さな夢は思いました
このまま消えていくのは嫌だ
どうすれば人に僕を見てもらえるのだろう
小さな夢は考えて考えて、そして遂に思いつきました
人間ヲ自分ノ中ニ迷イコマセテ
世界ヲ作ラセバイイト
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