等身大のミラーの中の君は
多過ぎる屈辱を味わってきた
君は視線を遥か遠くへ置き
透明な水晶体を白く染める
やがて片手にナイフを握った君は
光る刃先をじっと見つめる
不意に君は黒い笑みを浮かべて
頭中に走る命令を施行する
僕はまるで見世物でも見るように
その一部始終を楽しんだ
目の前で綺麗な液体が噴き出し
君はゆっくりと倒れていく
僕はもうすぐこの世から消滅出来る
自分の胸に刺さったナイフを見つめながら…
鏡に飛び散った血液を見つめながら…
ミラーの中の君の死を見つめながら…
雫で濡れたふたりの水晶体を見つめながら…
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