(リンの見つめる先にはお城が)
リン「ルカさんの言ってたお城はここね…ここにレンがいるかもしれないんだ」
(お城の中に入っていくと現れたのは、カイコとがくぽ)
カイコ「こんにちは、どちら様?」
リン「あの…私はリンです。レンという男の子を探しているのですが」
がくぽ「この城の住人は僕たち二人だけだけど…」
リン「そう、ですか」
がくぽ「どうしてここに来たのかはわからないけど…リンちゃん、ごめん…レンくんじゃなくて」
カイコ「早く見つかるといいわね。手掛かりとかはないの?」
(黙って頷くリン。俯くリンの眼に映るのは自分のボロボロの靴。がくぽとカイコは顔を合わせてほほ笑む)
カイコ「リンちゃん、私たちはあなたの力になってはあげられないけれど…」
がくぽ「そのボロボロの靴の代わりになるものくらいは用意して上げられる。城にある馬車を使っていいよ」
カイコ「長旅ならなおさら。乗り物の方が楽だわ」
リン「ありがとうございます。助かります。…あの、ロードローラーはありませんか!?」
カイコ「ロードローラーはちょっと…」
がくぽ「馬車の準備ができたよ。これに乗ってお行き」
【こうしてまた手掛かりはなくなってしまったものの、リンは移動に便利な馬車を手に入れてお城をあとにしました。ところが馬車で進んでいると、突然馬が止まってしまいました】
メイコ「止まれ!!この馬車!あの金持ち王子と姫がいる城の馬車だろう!」
リン「いきなり何なんですか!」
メイコ「あたしは盗賊の女首領・メイコ。命が惜しくば金目のものを置いていけ!」
リン「お金はありません、この馬車はお借りしたものですし」
メイコ「何!?」
リン「レンという男の子を探して旅をしてるんです。こんなところで死ぬわけにはいかないし、このまま行かせてください」
(リンの強い眼差しを受けて、メイコは睨んでいた瞳をそむけて、ため息をついた)
メイコ「…ついてきな」
【リンが怯えながらもメイコについていくと案内されたのは盗賊たちの生活してる場所でした】
リン「メイコさ…」
メイコ「あんた、歳はいくつだい?」
リン「14です」
メイコ「そっか…。あたしはその歳で盗賊になったよ。目的もなく、奪うもの奪って、ふらふら生活して、情けない。あんたみたいな生きた目…してないと思う」
リン「…どうして盗賊になったんですか」
メイコ「理由なんて忘れちまったさ。でも、あんたが羨ましいと思うし、本当の意味で強いのは…あんたみたいな奴なんだろうな」
(二人で並んで夜空の下、焚火の火で温まりながら会話をする。メイコが悲しそうな顔をしていたが何も言えないリン)
メイコ「見逃してやるよ。レンって子のとこに行きな。…ただ、馬車は目立つし、細い道は通りにくいからあたしのトナカイに乗っていきな」
リン「ありがとう、メイコさん」
メイコ「ははっ、ありがとうなんて言われたのは初めてだよ」
鳥「そこにいるのは、もしかして男の子を探してる女の子?」
リン「どうして知ってるの?」
鳥「鳥たちの間でちょっと噂になっててね。それより、さらに北に進んだところにある、年中雪に覆われてる城に住んでるミク女王が、その男の子を連れて帰ったところを見たやつがいるってさ」
メイコ「本当かい!?よかったじゃないか、今すぐにでも出発しな!」
リン「はい…っ!」
(リンが見えなくなるまで見送ったメイコが、焚火の火を消そうとしたとき、現われたのはなんとカイト)
カイト「そこのお前、黄色い娘を見なかったか!?」
メイコ「見たよ、たった今、雪の城を目指して行った」
カイト「入れ違いになったか…でも城を目指してるならば問題ない…」
メイコ「待ちなよ、せっかくなんだ。ゆっくりしていったらどうだい?」
(迫りくるメイコにたじろぐカイト、すっと離れたメイコの手にはカイトの財布が)
カイト「盗っ人!返せ!」
【鳥の情報、そして本当は心優しい盗賊に救われたリンは、カイトの不幸などつゆ知らず。トナカイの背に乗って湖を渡り、森を駆け抜け、やがて雪の城に着くのでした】
(城の中ではミクとレンが二人きりで、氷のお菓子を食べていました)
レン「ミクは…こんな寒くて暗い大きな雪のお城に、ひとりでいたの?」
ミク「そうよ。生まれてからずっと…ね。私はひとりで生きていた、ここで」
レン「寂しくなかった?」
ミク「寂しかったわ。でも今はレンがいるから大丈夫、寂しくなんかない。ずっとここにいてね、レン」
(ミクがレンを抱き寄せると、レンはミクの服をぎゅっと握りしめる)
カイト『こんなところで一人…寂しかったでしょう。ずっとあなたの側にいます。片時も離れず、永遠に』
(↑ミクの脳内回想シーンっぽくしたい…)
(ミクが人の気配を感じて目線を後ろにやると、リンが立っていた)
ミク「侵入者だなんてカイトは何をしてるのかしら」
リン「レン!やっと会えた!迎えに来たのよ!帰りましょう!」
レン「ぼくはミクのそばを離れられない。リンは家に帰りな」
(レンの言葉に固まって泣き出すリン)
リン「レンの馬鹿ぁ!!もう知らない!!」
(レンの頬を叩いて走ってくリン。レンとミクがいた部屋から離れたところでしゃがみこむ)
【レンの好きだった歌を歌おうとするが、泣いてしまって歌えない。 急に陰る目の前、顔をあげたリンの前に立っていたのは、ルカ、カイコ、がくぽ、メイコ】
ルカ「あのあと気になってリンを追いかけたんだけど…歩くの早すぎよ」
カイコ「ルカさんと一緒にリンちゃんを助けに行こうってことになりまして、馬車を探してたんです」
がくぽ「馬車があったから、リンちゃんかと思ったら盗賊がいるんだもんなぁ…でもメイコに事情聞いて、…ミク女王と話がしたくてね」
メイコ「そういえば、あたし…あんたの名前まだ聞いてなかったから」
リン「みなさん…」
(差し出された手を取り、立ち上がるリンは、再びレンとミクのいる部屋に戻る)
リン「レン!わたしやっぱり…」
カイコ「リンちゃん、ちょっと待ってね」
(リンが前に出るのを制して、カイコとがくぽが前に出て、頭を下げた)
がくぽ「ミク王女…祖父や両親に話を聞きました。無礼をお詫びしたい」
ミク「何をいまさら。私たちの一族をを化け物よばわりしてこの城に閉じ込めたくせに!」
リン「化け物?」
ルカ「もう昔の話だけどね。…雪のように白い肌、緑の髪、そういう一族を迫害して閉じ込めたのよ、この城に」
リン「ひどい…」
ルカ「ミク王女はその一族の生き残り…最後の末裔」
がくぽ「ミク王女、僕たちはあなたを普通の人間として接していくことに決めた」
カイコ「だから、あなたさえよければ…私たちのお城で一緒に暮らしませんか」
ミク「え…」
(意外な言葉にためらうミク。その横顔を見たレンは、ミクの手を取り、みんなのところへ連れて行く)
レン「みんながいるから、寂しくないよ」
ミク「レン…」
がくぽ「僕たちの一族は本当にあなたたちに酷いことをした…悔やみきれない思いだ」
カイコ「ミク王女の歌声は素敵だと風の噂で聞きました。ぜひ一緒に歌いたいわ」
メイコ「なんかあんたも死んだような目してるんだから…これじゃあ、あたしが頑張ってんのに放っておけないじゃない」
レン「ぼくも、また遊びに来るから」
(みんなの視線を受けて、唇をかみしめるミクの瞳からは一筋の涙が)
ミク「気持ちは嬉しい。あなたたちとなら仲良くやっていけそうね。…でも、ここを離れるわけにはいかないの。待っててくれる人もいるし」
リン「ミク女王…」
ミク「リン、レン、あなたたちにも酷いことをしてしまったけど、お友だちになってくれる?」
リン「もちろんよ」
ミク「ごめんなさいね、レン。この薬であなたにかかった魔法と呪いが解ける…飲みなさい」
(ミクがレンに渡した小さな小瓶。それの中身を飲み干すと、虚ろだった目に光がともる)
リン「レン…?」
レン「…リン!!会いたかった!!」
【こうして、暗闇の空に覆われ、いつも寒かったこの地域に、温かな光が降り注ぎ、風は春の匂いを連れてきた。それは同時にミク女王の心の雪も溶かしたようだった】
(手をつなぐリンとレン。笑顔のカイコとがくぽ。ミクの隣に立つメイコとルカ)
レン「帰ろうか」
リン「うん!」
カイコ「いつでも…お待ちしてますから、遊びに来てください」
がくぽ「僕たちもたまに遊びに来ますね」
メイコ「あたし盗賊やめるわ。住むとこないからここで住まわせてよ」
ルカ「家は少し遠いから…文通でもしましょうか。それより近くに引っ越しちゃおうかしらね」
(ミクの笑顔で一時、幕閉じ)
カイト「はぁ…はぁ…ミクじょうお…じゃなかった、ミク王女」
ミク「カイトくん、待ってた」
カイト「駆けつけるのが遅くなってすみませんでした!…あれ?あいつらは」
ミク「帰って行ったわ。何人か残った子もいたけど。…ねぇ、あの日のこと覚えてる?」
カイト「あの日?」
ミク「“愛してるから、側にいさせて”」
カイト「そっ、それは…」
ミク「側にね、いて、ほしいの」
カイト「ミク…」
ミク「お城で独りぼっちで泣いてた時、初めて会った人間は、カイトくんだよ。嬉しかった。でも束縛してたようなものよね。自由になっていいのよ。いままでありがとう」
カイト「そんなお別れみたいなこと、言わないでください。気持ちは今も変わってないから…ずっと、これからもずっと!ミクの側にいる。…愛してる」
*fin*
ボカロ劇*コラボ専用…後半
はい、なんとか後半書き終わりました!
ギャグ専門になってしまった可哀想なカイト兄さんに花を持たせてあげよう…と思い…
いえいえ、最後はハッピーエンドにしたくてですね。こんな感じになりました。
最後はカイトに君をつけてるとこがポイント。
全体を通してみていかがでしょう?
長すぎるといわれてしまったらどこか縮小しますが…
継続して、調教中に喋らせにくかったりした発音があればセリフ変えますし…
感想、ご意見、お気軽にどうぞ。お待ちしてます。
読んでいただいて、ありがとうございました!
エチャで話してたアナザー…舞台裏秘話(NG集)の原稿も考えるべきかな?笑
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