※主人公(語り部)は自作マスター
※ちょっと自作マスター×自作マスター気味…の、ような気がする
※今回ボカロは名前だけ
以上を踏まえてどうぞ。
――I sing your love 6
あの日から私は、ミリアムの声を聴かない日々を、ゆるゆると、でも確実に、重ねていた。
――Nice to meet you, Master.
初めて直接聴いた彼女の声がよぎる度に、罪悪感なんだか後悔なんだか、よく解らない感情が胸を締め付けて、痛い。
でも。
好きな人と共通の話題を持つ為。好きな人と一緒に何かをする為。
そんな自分勝手な理由で、ミリアムを選んだ私はきっと、マスター失格なのだから――
「――宍戸?」
突然の声にびくりと肩が跳ねた。スイッチを切り替えながら、声の主を視界に入れる。
日和田留衣。私がボーカロイドに――ミリアムに出逢ったきっかけを作った、張本人。そうか、もう部活の時間だ。ぼーっとしている間に、既に教室に残されたのは私と日
和田だけになっていた。
「ひ、わだ……、どしたの?」
――大丈夫。笑えてる、筈。
想い人に虚勢を張れない程に傷付く権利など、私には無い。
「………」
「…日和田?」
返ってきたのは沈黙。少しだけ焦った私が恐る恐る呼び掛けて、
「…宍戸、お前何かあっただろ」
「……!」
ようやく日和田が口にしたのは、そんな言葉だった。
「何か、って…何?アバウトだねー」
「……笑うな」
むに、と頬を指先で軽く挟まれた。手加減してくれてるんだろうけど地味に痛いとかそんなことより――なんで、バレてるの。
「そんな泣きそうな顔して笑ってんじゃねーよ、バカ」
「……なんで」
「わかるに決まってんだろ」
日和田の指が離れる。今更ながら――好きな人に触れられていた、そう認識して、指の感触がわずかに残る頬が熱を帯びた。私もつくづく現金な奴だ。
「――んで……何があったか、って、訊いていいか?」
遠慮がちにそう切り出されて、私はしばらく言葉を選んでから――口を開いた。
「……酷いこと、言っちゃったんだ。私」
誰に、とは、訊かれなかった。そのまま、ぽつりぽつりと断片だけを吐き出していく。
「勝手な理由で選んだくせに、選んだ意味が無かった、って、思っちゃって――言っちゃって」
――一緒に歌を完成させていくのは、とても楽しかったのに。
「そのくせ、勝手に私が落ち込んだりして」
――私は、傷付けた方なのに。
「挙句――日和田には、見抜かれちゃうし」
あまりに情けなくて、私は思わず笑う。きっとそれは――泣き出す寸前のような――好きな人にはとても見せられないくらいの、とても不細工な笑顔。
「…また、笑うし」
「だって。私が泣くようなことじゃ、ない」
そう。私は――“まだ”、泣くわけにはいかないのだ。
「謝れば済むことじゃない、だから――別の何かを、しなきゃ。私が、しなきゃ」
最早それは――ただの独白、自分への決意表明だった。しばらく沈黙が流れてはっと顔を上げれば、思いっきり反応に困っている日和田と目があった。
「……ご、ごめん、なんか…一人で、愚痴っちゃって」
「…いや、いいよ――これで、お前が元気出してくれれば」
そう言った日和田の目が、思った以上に真剣な気がして――少しだけ、自惚れそうになった。
「…ありが、と」
「おー。……じゃ、行こーぜ」
「ん。…あ、そうだ、ねえ日和田」
背を向けかけた日和田を呼び止める。
「これからさ――色々、手伝ってほしいんだけど」
「…何を?」
主語の足りない私の言葉に、当然ながら日和田は首を傾げる。
私が、ミリアムに出来る事。
まだ、してあげてなかった事。
「私――歌、作りたいんだ」
I sing your love 6(自作マスターとミリアム)
友達との合作(オリジナル)やら他の二次創作やら学校閉鎖の振り替えで土曜日が潰れるやら色々あってこんなに時間が掛かってしまいました。
…半分くらい嘘です。←
大筋しか決めてなくて細かい描写が……いや、うん、言い訳はやめときます。
…実はちょっと浮気してこれの別視点verを書き始めていただなんて内緒です。
今回はマス×マスのラブコメを目指した…ような、気が、します…?
…目指しただけでなってません。
ところでこの日和田がミクのマスターだと覚えている人はどれだけいらっしゃるんでしょうか。
いや、それ以前にこれを読んでる方がそれほど居なさそうですけど!
…作者は忘れてませんよ。ええ忘れてませんとも(大事な事なので二k(ry
それではまた、忘れた頃に。
…ちゃんと完結させられますように…!
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