A
絹の肌鞣した草原(くさはら)に
嘲り笑った鳥の歌
張り子の三日月浮かぶ空
口笛は何処(いずこ)へ消え去った
A
綿の首絞った独りきり
戸惑い走った足の裏
迷い子の頭撫でる手の
優しさは何時から無くなった
B
遊び過ぎた虚ろ目の
案山子が伝えた言の葉は
「女子(おなご)の行方は知れないな」
腹の中問いかける
S
探す探す後姿を
追いすがる我が身を何(なん)と言おう
遠い記憶 刹那に消えた
祭の金魚はまだ見つからない
A
糸の髪散らした藪の中
罵り拝んだ傍らで
年子の蝉時雨がなる村
雪洞(ぼんぼり)は何時まで照らされた
B
忘れられた神棚で
供物が呻いた言の葉は
「名残惜しけりゃ求めなせぇ」
気にもせず頷いた
S
探す探す優しい手を
抱き寄せた我が身を悦ぶ顔
朽ちる記憶 何故手放した
祭の金魚はまだ見つからない
S
探す探す懐かしい場所
微笑んだことすら無下にして
霞む記憶 あともう少し
祭の金魚はまだ見つからない
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