「…ん…っ… うぁぁあ…ぅ」

再び眼を覚まし、ポッドから出たルカは思いっきり伸びをした。

「…さてー…のんびりまわってみようかしら…」

若干寝ぼけ気味だが、とりあえず部屋を出た。

       *

玄関で、ばったりルカに会った。

「あ、ルカさん」

「うん? ………えーと………あ、そうそうレン君ね!」

「………。 起きたんですね」

「ええ。やっぱり寝てばっかりじゃだめかなって思ったのよ」

たしかに、ルカの髪は少し乱れているし、服にはしわの跡がありありと見える。

「でもなんで玄関に?」

「それはこっちも言いたいところだけど…、そうね、探検?かしら?」

「疑問形で返されても… 俺は呼び出されたので、行かないと。 じゃ」

「そうね。待たせたら悪いものね。じゃ」

『呼び出し』とはなんなのか聞かないのだろうか。

(やっぱり俺とは違うんだ。大人なんだ。)

そう思いながら家を出た。

の直後、

「あら?呼び出しって何なのかしら?」

ルカはワンテンポ遅れの疑問を持った。

       *

とりあえず服装を直してリビングに向かう。
そこには黄髪の少女、茶髪の女性、青髪の男性がいた。
部屋に入ったとたん酒の匂いがきつく漂い、ルカは思わず鼻を押さえた。

「…、これは何…?」

女性を除く二人がルカを見る。

「あ、カイ兄ー、あれがルカさんかな?」

「そうみたいだね。初めて見る顔だね」

「見たくないー!見ないわよ!どうせ私より美人なんだからっ!」

「…あ、えと、こんにちは、巡音ルカです…」

空気は重いがとりあえず自己紹介をすると、少女と男性は口をそろえて言った。

「「よろしくー!」」

「…マスター…ひどいわよ…何もこんな仕打ち…」

落ち込む女性を置いてきぼりにし、少女は無邪気に質問をする。

「ルカさんは何ができるの?」

「え…、う…、歌、そう歌、英語を歌えるの! あなたは?」

「…それに性能もいいのね…」

少女はさらりと女性を無視する。

「リンのこと? リンはね、………まだまともに歌わせてもらってないなぁ…」

「あ、 ………その、」

「でもね、得意だって言われてるのは演歌とロックだよ!」

「え、演歌?」

「うん、ルカさんと逆だよ?日本の歌」

「へぇ…」

「私の得意な分野なんておぼえてる人いないわよね…」

無視。
そしてこんどは男性が話しかけてくる。

「めーちゃんは無視してあげて。いい加減懲りて欲しいんだ」

「あ、はい…?」

何を懲りさせるというのだろうか。

「あー!めーちゃん、また酔い潰れてるの!?」

突然、うしろから声。

「しかもルカさん!?起きてたの!?」

「あ、ミクちゃん。 おはよう」

「おはよう… じゃなくて! めーちゃん! もう迷惑だよ! お酒呑みすぎないで! こぼしたのとか掃除するの、私たちなんだからね!? 家の中もお酒くさくなるし!」

沈んでいた空気から一変、空気が赤く見えてくるほど熱された。

「ミク!?何でそんなこと言うんだい!?この状態で冷ますのが一番よかったのに、怒らせるなんてことしたらまた…」

「違うお!私は悪くふぁいあ!しゃけがわういのよ!」

メイコの態度も変わり、持っていた酒瓶を振り回し始めた。

「あ…まずい! 舌がまわらなくなってきてる!?」

カイトはよくおぼえている。
前にメイコがこの状態で部屋をめちゃくちゃにし、自分も巻き込まれボコボコにされたことを。
そんな事態を予感し、メイコを抑えにかかったが、

「お酒は悪くないよ!呑みすぎるめーちゃんが悪いよ!」

知らないミクは応戦した!

「え…、ちょ、みなさーん…?」

事態が飲み込めないルカはおろおろするばかり。

「ミクはそんら風に思ってたのえ!?ひろい…、味方らと思ってふぁのい…っ」
「仏の顔も3度までだよ!今まで3度いじょう仏の顔してきたけど、もう限界だよ!」
「それも優しく包み込むのが家族っれもおでふぉう!?」
「親しき仲にも礼儀ありっていうよ!」
「しょれはともだひのはらふぃお!かりょくはまふぁえつよ!」
「何言ってるか分かんないよ!?」

ついに臨界点を突破したようで、

「ひふゅおいんうぉあいふぉおえんおりゅあおいあ!いふぁあい!しらい!うあぁぁぁぁぁぁあ」

「げ、めーちゃん、落ちつ…」

「うああああぁあぁぁぁぁぁあああぁん!」

ガシャーン!ドーン!パリーン!

ビシャッ!

「………あ」

カイトの顔に、酒瓶から出た液体がかかった。
要するに酒で頭をぐっしょりにしたカイトは、

「…とりあえず、この部屋から出ようか?」

にっこり笑って促した。
無言の迫力とメイコの暴れっぷりに押され、メイコのみを残し部屋を出た。

       *

がちゃり。
リビングにカギをかけ、カイトはまずミクに顔を向けた。

「ミク?気持ちはわかるけど、おさまってから言っても良かったんじゃないかな?」

眼が笑っていない。

「あ…、う…、ごめん…なさい」

あんなに激昂していたミクも、しぼむようにうつむいた。

「ルカさん。ごめんね、まだ自己紹介もしていなかったのに」

「あ、はい、いいえ別に気にしてませんし、その、私が怒らせてしまったようですし…」

「ううん。ルカさんは悪くないよ。ミクの時もそうだったんだ。リンとレンの時もああなりそうになったけど、どうにか抑えられたんだ。でも今回はミクが後押ししちゃったしね」

「あ…、う…」

「とりあえずおさまるのを待って片付けようか。そのあと改めて自己紹介しようね」

「…うん」

※なんか続いちゃったりしますよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

レンとぼかろ家の日常。 6

めーちゃんのセリフ翻訳。

「違うお!私は悪くふぁいあ!しゃけがわういのよ!」
→違うの!私は悪くないわ!酒が悪いのよ!

「ミクはそんら風に思ってたのえ!?ひろい…、味方らと思ってふぁのい…っ」
→ミクはそんな風に思ってたのね!?ひどい…、味方だと思ってたのに…っ

「それも優しく包み込むのが家族っれもおでふぉう!?」
→それも優しく包み込むのが家族ってものでしょう!?

「しょれはともだひのはらふぃお!かりょくはまふぁえつよ!」
→それは友達の話よ!家族はまた別よ!

「ひふゅおいんうぉあいふぉおえんおりゅあおいあ!いふぁあい!しらい!うあぁぁぁぁぁぁあ」
→ミクもリンもカイトもレンもルカも嫌!知らない!嫌い!うあぁぁぁぁぁぁあ

自分でもどうなるか見当もつきません(汗)

閲覧数:145

投稿日:2011/05/18 16:36:07

文字数:2,353文字

カテゴリ:小説

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    瓶底眼鏡

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    め、メイコ姉さん、お気を確かに!!一つもVOCALOID持ってない自分が言うのも難だけど、メイコ姉さんのパワフルな歌声は他のVOCALOIDにはない魅力だと思うよ!!←

    そしてカイト兄さんいつも不憫過ぎる……ホロリ←

    2011/05/18 17:21:23

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