『……っ、ミク!』
私は、その場をいち早く去った。だって何も見たくないし、聞きたくもなかった。マスターの口から出てくる言葉は、きっと私にとって残酷なものであろうから。
「……、知らないままでいたいの」
本当は、とっくに気付いている。マスターが、貴方が他の人(ボーカロイド)を見ていることなんて、私には分かっていた。だけど、やっぱりそれを認められるくらい私の感情は落ち着いてなくて。私は全てを拒否するように頭を横にブンブンと振った。
あんな場面消えてしまえばいい。
あんなマスターの姿はキライ。
あんな幸せそうな雰囲気、私には辛い。
マスターが、レン君と、キス、してたところなんて
──私は見てない。
「……何も見てない、何も見てない、何、も……」
私は狂ったようにその言葉だけを言い続けた。だってそうでもしないと私のこの黒いモヤモヤが、どうしようも無いことになりそうだったから。そして、次の言葉はお決まりの嘘。
「マスターなんて、嫌いです」
(これが、私の一番)
(報われるような思考)
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