遠くで花火があがって
夜空を赤く染める
見上げている君の後ろから
僕はその黒い背を見てる

A
花火が見たいと急に思いつき
言い出したら聞かない君に手を引かれ
熱気のこもる祭りの会場へ
僕はしぶしぶついてきた

昨日降った雨の湿度が残って
立っているだけで肌に汗がにじむ
不快な気持ちのまま並んだのは
色とりどりのかき氷の屋台


威勢のいい客引きに寄せられて
うれしそうな顔をしている君
赤青黄に咲く少女たちの中
闇に溶けたように黒い君


白く細い腕にぎゅっと
力がこもるたびに
どうしようもなくいとしく
切なくなるんだ
ぼくにそっと差し出した
かき氷の乗ったストローが
あて先を失ったように
さまよう姿を眺めてる


右足のふくらはぎにある
蚊にさされて赤く腫れた痕
ついかきむしってしまうから
血がにじんで痛痒くなった

いまのぼくの心の中も
同じようなものなんだろう
複雑な感情が入り交じり
なにもわからなくなるんだ


立ち止まる背にぶつかり
何事かと僕のほうを見る
きっとこの会場でサングラスを
かけているのは君だけだろう


遠くで花火があがって
夜空を赤く染める
振り返ってそれを見上げて
君は僕にたずねた
「今のは、何色?」


続けて花火があがって
夜空を何色かに染める
見上げる君が「きれいね」と
言ってふわり笑っている

遠くで花火があがって
二人を赤く染める
きれいだと返しながら
僕はその黒い背を見てる

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

花火大会(仮題)

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投稿日:2016/03/03 17:03:55

文字数:624文字

カテゴリ:歌詞

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