暗い
暗い森の中に
銀の月の明かりが草原を包むころ
ブラームスが一人で
ナイチンゲールのつがいが囁いているのを聞いている
永遠の愛を見つめているその瞳を通して
沢山の哀しみは
草むらの影に
もっと暗い場所へと
逃げるようにひるがえる
歩く
歩く
暗い森の中に
実を食べずに帰る人々が
朝焼けの暖かさに涙を流して
消えてしまった遠い日の愛する人よ
誰もこの苦しみを知る事はない
哀しみは光の中に隠れていく
暗闇の方へ
一人の朝がまた始まりそして終わる
終わる時に始まる
始まりまた終わる
銀の月が語りかける頃に
彷徨い歩く
ご意見・ご感想