【ネタバレ注意】はやぶさ・歌詞解説

投稿日:2010/03/30 18:29:54 | 文字数:3,758文字 | 閲覧数:5,495 | カテゴリ:その他

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「はやぶさ」の歌詞歌詞です。
ネタバレを多分に含みますので、閲覧の際にはご注意ください。

最低限、歌詞をじっくり吟味し、曲をしっかり堪能した上での閲覧を推奨致します。

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TEXT
 

はやぶさ 歌詞解説





【ネタバレ注意】



歌詞をじっくり吟味し、曲を堪能した上でご覧ください。



































■砕けた翼で 君を支えた母親
 全てを託して 彼女は逝った

ここで言う母親とは、様々なものを指しています。
例えば、最後の最後まで、わずかな通信に可能性をかけ、ついに復活できなかった火星観測衛星「のぞみ」、
あるいは、打ち上げられるもノズルの破損により大破し、衛星を宇宙に送り出せなかったM-V-4ロケット、
そして、それらの失敗によって学んだ技術者達の進歩…。
また、はやぶさを宇宙に送り出し、先に役目を果たして地上に落ちて行ったM-V-5ロケットのことでもあります。
そういったもの全てをひっくるめて、ここでは「母親」としています。
もちろん技術者の進歩まで死に絶えたわけではありませんが、しかし先陣を切って散っていった先輩達がいたわけです。
きっとはやぶさは、その分の期待も背負っているんだと思います。


■遥か彼方にて 君を待つ父親
 その命かけて 旅が始まった

この父親とは、日本の宇宙科学技術の父とも言える、故・糸川英夫教授のことであり、
またその名を付けられた小惑星イトカワのことを指します。
イトカワに会いに、そして父・糸川教授の魂に会いに、はやぶさは旅をします。
片道実に3億km、しかも、直線で向かうことはできません。
大きく迂回しながら、軌道を形成しながら向かうことになります。
実質、その何倍もの距離を移動しなくてはなりませんでした。
そして、宇宙空間には、地球とは比較にならないほど、未知の危険が潜んでいます。
あちこちから電磁波やら太陽風やら有害な宇宙線が飛び交います。
実際、はやぶさは一度極めて大きな太陽フレア(大爆発のようなもの)による強力な電磁波を受けています。
それもあり、イトカワに到着する前に、姿勢を維持するための脚(リアクションホイール)を失いました。


■風に吹かれ 雨に打たれ 雷が君を焼く
 それでも旅を やめないのはそれが生きる意味だから

風、雨、雷ともに、地球の現象であり、宇宙にはありません。
ここでは、探査機はやぶさを、1羽のハヤブサに例えています。
風も雨も雷も、先述の電磁波や宇宙線、太陽風、太陽フレアなど、はやぶさの航行に支障を来たす障害を指しています。
しかし、はやぶさはその旅を諦めませんでした。
何故なら、この旅を完遂することこそ、自分が生まれた理由だからです。


■舞いあがれ はやぶさ
 翼が折れたとしても
 幾重の夢抱えて
 翔けあがれ はやぶさ
 嵐がその身薙いでも
 大宇宙(おおぞら)切り裂いて
 Fly away

サビの部分ですが、これはもう解説が意味を成しません。
ただただ、はやぶさを案じ、元気づけたい、その想いでのみ構成されています。
実際、はやぶさは88万人の人の名前が書かれたマーカー(着陸の際に目印に使うもの)を持っていましたし、
そうでなくても何人もの人がはやぶさに夢を見、希望を抱き、そしてその帰還を心待ちにしています。
宇宙を切り裂いて、地球に帰って来て欲しい。
その為に飛び立て、はやぶさ!
そういう気持ちで書きました。



■遥か遠い場所で 初めて父の顔を見た
 喜ぶ間もなく 「さあお帰り」と放たれた

はやぶさは、イトカワに着陸を果たしました。
実際にはイトカワ周辺にかなり長期間留まり、様々な任務を遂行しています。
残念ながら表面に留めることには失敗してしまいましたが、小探査機ミネルヴァをこの時放出しています。

その過程で一度再起不能寸前の致命的ダメージを受け、一切の呼びかけに応じなくなってしまいました。
しかしながら、事前のスタッフの危機予測、地上からのケア、
そしてはやぶさ自身による自律的なリカバーの甲斐あって、綱渡り状態ながら、復活を果たします。
ついに、探査機史上初の、地球への帰還ミッションを開始します。


■往路で抱えた 再会への希望と
 復路で抱えた 落とせない持ち物

イトカワのような、直径1kmにも満たない小さな小惑星への着陸は、人類史上で初めてのことです。
そして、イトカワの表面にある物質(石や砂など)を地球に持って帰れれば、これもまた史上稀にみる快挙です。
もちろん、無人の探査機がそれをやるとなれば、やはり人類史上初の快挙となります。
はやぶさは、先の致命的なダメージにより、メモリを失いました。
それでもなお、イトカワで採取した試料を大事に抱え、地球に向かっています。


■無駄な旅と 嘲笑われた それでも飛び続けた
 二人の親に 託されたもの それが旅の意味だから

科学というものは、そこに直接的な関わりを持たない人には、とかく結果ばかりで判断されがちな分野です。
マスコミ、政治家、そして彼らの言でしか知らない人達は、科学の失敗に対して一切の容赦ない罵声と嘲笑を浴びせます。
かと思えば、成功したら掌を返すと言った日和見的な批評に常に晒されています。
「のぞみ」も失敗した、M-V-4も失敗した、これ以上JAXAに何ができる?
大人しくアメリカやロシアの宇宙開発を手伝ってりゃ良いじゃないか。
そんな意見があちこちから上がったこともありました。
しかし、そういう意見は、日本の科学技術がしようとしたこと、成し遂げてきたことなどを一切見ていない発言だと思っています。
一つの成功は100万の失敗の上に成り立っているものだということをまるで理解していないと思うし、
また日常生活に関わるありとあらゆる技術の中で、最初から生活のために開発された技術がどれだけあるでしょうか?
糸川教授を始め、日本の科学技術に携わった人たちへの冒涜に他ならない、最も愚かで考えのない意見であると思っています。
この部分は、ある意味で、この曲で最も強い怒りをこめて書いた一節です。
そして、この詞に共感してくれる人は大勢いるということを証明したい一節でもあります。


■(間奏)
歌詞ではありませんが一応解説。
僕は間奏部分はわりとノリで作ってしまうことが多いのですが、この曲に関しては違います。
大きく5つの部分に分け、それぞれに意味を持たせて作っています。
その大雑把な意味は、歌詞での表記及び動画にて確認できると思います。
聴き手はどう評価するかは色々あるでしょうが、あくまで作者的には、
この長い長い間奏は全て意味があり、とても削ることができないものなのです。
実は、動画では間奏を短く編集しようかと当初思っていたのですが、無理でした。
それでは伝わらない、納得しきれないと思ったからです。


■翼が折れ 片足がもげ それでも飛び続けた
 青く輝く 故郷の空へ 届けるものがあるから
 死を賭して

復路のはやぶさに再度危機が訪れます。
4基あるうちのエンジンの実に3基が、寿命や故障などで動かなくなってしまったのです。
最低でも2基のエンジンがないと推力が不足し、地球に帰還することができない状況下で、です。
しかし、はやぶさと地上のスタッフ達は、この危機を乗り越えました。
寿命で完全に機能の止まったエンジン1基以外の2基の無事な部分を組み合わせ、2基で1基のエンジンにしてしまったのです。
これにより正常に動くエンジンは2基になり、推力の不足を補うことができるようになりました。

先述のとおり、エンジンは半分が使えず、リアクションホイールもこの時点で3基中2基が使えなくなっていました。
正常な航行に本来必要な燃料も足りておらず、まさに満身創痍の状況ですが、
それでもなお、はやぶさは地球を目指して飛び続けました。
まさに、命がけの航行を、現在進行形で続けているのです。


■舞いあがれ はやぶさ
 故郷の空見えるまで
 翔けあがれ はやぶさ
 その身が燃え尽きるまで

地球に帰ったはやぶさには、あと2つ、大仕事があります。
一つは、自身がイトカワで採取してきた試料をカプセルに入れ、地球に放り出すことです。

もしも正常な状態で帰ってきたなら、地球からはるか遠くから放出しても、地球上の狙った場所に落とせたでしょうが、
残念ながら姿勢の維持すら満足ではない現状では、それはどう上手くやっても不可能でした。
したがって、もっと近くから、カプセルを放出する必要が生じました。
そのもっと近くとは、殆ど宇宙空間と地球大気圏の境目すれすれ。
ここまで近づけば、地球の引力に捕らわれ、はやぶさの力ではもう宇宙空間に逃げることはできません。
そして、カプセルには当時の最新の耐熱素材が使われていますが、はやぶさ自身にそれはありません。

はやぶさの最後の仕事とは、地球に飛来する小惑星や隕石に見立てて地球に侵入し、燃え尽きることです。


■「ただいま」

きっと、はやぶさに言葉が話せたとしたら、それが最期の言葉でしょう。
「おかえり」と迎えてやってください。
はやぶさは無事に、世界一壮大な「はじめてのお使い」を成し遂げ、不死鳥に生まれ変わるのですから。





以上

メタラー。
本業ヴォーカリスト。
でもミクる。



キセノンPの独り言:http://xenonp.dou-jin.com/

注記:コメントは全て読ませて頂いております。有難う御座います。
   お返事をしたいのですが、携帯登録が(型が古過ぎて)できなくて、できないでおります。
   大変失礼をして申し訳ございません。

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