「ふう…」
やっとのことで出てこれた東京。
都会の駅なのでやはり多くの人で混雑してる。
―――高校卒業、それは私の人生のなかの一つの大きな出来事。
出会いもあれば別れもある、そんな言葉もあるけど…卒業とは別れの代名詞である。
「天月君、どうしてるかな」
天月君とは私の後輩であり、私の人生の中でとても大切な人だ。
かつての恋人でもあった。
まあ私が上京しちゃったから結局は別れることになっちゃったんだけど。
「先輩!!俺、俺!!ずっと先輩のこと好きでいますから!!」
彼の涙ながら言う言葉が昨日のように鮮明に思い出せる。
「天月君…」
愛おしい。別れたことを心底後悔してる。
いくら夢のためとはいえ、やはり上京なんてするんじゃなかったのかもしれない。
「好きだった、ううん、今も好き…大好きだよ」
人ごみの雑音にまぎれて、我慢できなくてその場で泣いてしまう。
天月君に会いたくて。天月君の声が聞きたくて。天月君に触れたくて。
自分勝手だとはわかってるけどやっぱり寂しくて。
「先輩!」
そう、こうやって駆け寄って抱きしめてほしくて。
――――――ギュッ…
「え…?」
抱き締められる感触がして、数秒後に懐かしい匂いがした。
天月君だ。
「ごめん先輩、やっぱ先輩のことひとりにできない。
んね、もっかい俺と付き合って?一人で、俺の見てないとこで泣かないでよ?」
―――――――春は出会いと別れの季節。
私たちは別れても、離れ離れになっても、何度だって出会うんだ。
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