──ゆめを見た。
現実のような、ゆめの話。
それは、僕が子供の頃のゆめだった。
それはそれは綺麗な、黒い格好をした女の人に出会った。
「あら、今日が何の日だか知っているのかしら」
その綺麗な人は僕に話し掛けた。
────今日?
確か10/31だ。
それがどうかしたのだろうか。
「その様子だと分からないようね」
彼女は僕を見てクスリ、と笑い、その綺麗な顔を近付けてきた。
「っ!?」
「とても澄んだ瞳ね」
そんなことを言われるなんて想定外で、僕は大きく目を見開いた。
「あ、ありがとうございます…」
お礼を言うと、被っていた大きな黒い帽子をより深く被り、口先だけで笑みを作った。
「ここは貴方の来るような場所じゃないわ」
僕は一瞬きょとんとしたが、言葉を理解するのに時間はかからなかった。
────僕はここには必要ない。
そう言いたいのだろう。
「今すぐ目を覚ましなさい」
そう言われてハッとした。
ガバッと布団を捲る。
見知った天井。
ふかふかのベッド。
カーテンから差し込む朝日。
「なんだ、夢…」
やけに現実感があった。
「10/31かぁ…」
そういえば今日だな。
「何の日だっけ…」
思い出せない。
「はっぴぃはろうぃんっ!!」
「──っ!?」
「あ、ごめん起こした?」
「いや…起きてた」
「そっか、ウチのミヤ君は優秀ねー」
「それよりさ、さっき何て言った?」
「ん?優秀ねー」
「もっと前」
「あ、ごめん起こした?」
「それより前」
「はっぴぃはろうぃんっ!!」
───そうか、今日はハロウィンだ。
「?それよりミヤ、パーティするよっ」
「すぐ行く」
ハロウィン…
お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ、っていう子供の行事、またはコスプレの日。
ってことは夢の人はコスプレ?
違う、あの人は本物だ。
雰囲気が違う。
「魔女、かぁ…」
「早くしろぉおぉぉおお」
「うぉっ!?あ、今行くって!!」
不思議な夢だった。
でも、何故か嫌な気分ではなかった。
ハロウィンの日に見た、僕の夢。
fin.
コメント1
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ご意見・ご感想
檸檬飴
ご意見・ご感想
こういう不思議な話、結構好き!
良いハロウィンだったよ!
お菓子もっと食べたかった…ww
2011/10/31 23:54:59