Ａ
置時計　行き場を失い溢れて
床の傷も探し出せない
やたらに積まれる出会い(じかん)は全て
細かく細かくずれていくから

Ｂ
歪むくずかごの錆びた歯車も
椅子に蹲る私の鼓動も
浮き上がる影の白い温もりも
銀の鍵に留められたなら

サビ
動けない　この床には爪先も置けないから
傷もない形を言い訳して
正しさに霞んでいく長針の残響音ばかり
集める私はCLOCK Collecter


Ａ
掛時計　寄り場を失い零れて
壁の色も思い出せない
むやみに組まれた別れ(じかん)はやがて
大きく大きく欠けていくから

Ｂ
たわむ床板の割れた発条も
椅子にかじり付く私の鼓動も
覗き込む陰の暗い眩しさも
銀の鍵で繋げられたなら

サビ
伸ばせない　この壁には指先も添わないから
存在(い)もしない誰かに嘘をついて
正しさを追いかけていく短針の残響音ばかり
集める私はCLOCK Collecter


Ｃ
動けないの　動かないの
伸ばせないの　伸ばさないの


サビ
頼らない　歯車とか発条は要らないから
外さない　止まらない　胸の奥の
足跡を刻んでいく単調な残響音すらも
集める私はCLOCK Collecter