初恋って名前ばっかり
華やかで眩しいけれど
本当にそうなのかって
空を見上げて 頬杖をついた
新しい制服を着て
リボンを揺らしながら
帰ったあの道に 君は居た
今にも消えそうな 儚い君の輪郭
思わず手を伸ばして掴んだ私に
君は驚いて 本を落としたよね
どうしようもなく気になった
桜の木を見上げていた君の横顔が
淋しそうだったから
次の日に 君はクラスに転校して来て
私の顔を見て微笑んだ
なんだ 笑えるじゃん
私はVサインを君に見せつけた
君と過ごす毎日は楽しくて
休日も一緒によく出掛けた
クラスの皆に冷やかされちゃったけど
でも私は気にしなかった
だって それでもいいと思ったから
君と桜の木を見上げる
あっという間だったねって
私は君に一歩近づいた
そうだね
君はそっと私の小指に
自分の小指を絡めて笑う
言おうかな
言えないかな
この距離も心地よかった
でもそれ以上になりたくて
明日言うね なんて
急に恥ずかしくなって
私は君に背を向けた
夢を見た
桜の木の下で 君と寝転んで空を見る
暖かな風が私達を包んだ
ありがとう
君がそんなことを言った
まるで見透かされているようで
この胸の音も聞こえているのかな
次の日に君は来なかった
その次の日も その次の次の日も
桜の木の下で私は待っていたけれど
ずっと君は私に隠していたんだね
もうすぐこうなる事を
初めて見た君のぼやけた輪郭と
桜の花びらが重なった
絡めた小指の感覚が
忘れられなくて
まるで隣にいるようで
私は君に言えなかった想いを
たくさん たくさん
その数だけ雫を落とした
今はもう思い出の中
今年も満開の桜の木の下で
私は君が残した この風景を見上げる
周りが話しているみたいに
華やかで眩しいものではないけれど
私の胸に 君はいる
だから来年もまた この桜を見に来よう
これが、私の初恋でした
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