ミユウ視点
「どうしたんだ?リユウ」
リユウが少し落ち込んでいる様子だったから、ボクはリユウに話しかけていた。
「お姉ちゃん…。リユウ、守りたいの」
「…守りたい?」
ボクが尋ねると、リユウは頷いた。
「うん、リユウ。守られてばかりだから。力を求めてるんじゃないの。ただね、リユウ、誰かの心の助けになりたいの」
「…大丈夫。ボクは、リユウが居るだけで幸せだから」
「…有り難うなの。リユウ、ずっと一緒にいたい人が居るの。その人に、思いを伝えたいの」
「…頑張って」
「うん!」
その時のリユウの笑顔は、とても忘れられないものだった。
リユウにも、好きな人が…なあ。
「…リユウ、どんな結果でも、前向きに生きろよ」
【悪UTAUが出現しました。沢山居ます!とりあえず、総員、出撃してください!】
「…悪UTAUだって…っくそっ!」
機体が壊れているせいで戦いに参加できない自分が悔しい。
あのときみたいに、リユウがあんな目に遭ったように、誰かが、怖い思いや悲しい思いをするかもしれないのに…!
「ボクだって、出撃できたら…!」
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ボイス視点
ミユウの部屋の近くへ行ったら、警報が鳴った。
でも、俺にはどうする事も出来ない。オペレーターをする事くらいしか出来ないだろう。
そう思っていたら、ミユウの部屋から壁を殴ったような音が聞こえた。
「…ミユウ…」
『ボクだって、出撃できたら…!』
ミユウの声を聞いて、ミユウの思っている事が大体分かった。
どこまでお前は人に尽くしたいんだよ。
誰かのためを思ってばかりで、自分の事には無頓着になって…!
「見ているほうが、結構辛いんだよ、それ…」
誰かの犠牲になろうとしているミユウを見ると、怖くなってくる。
いつか、ミユウが誰かを守って死んじまう、なんて…思えて来るんだよ。
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ユア視点
「少し…疲れましたね」
「…悪UTAUとの戦闘が始まろうとしてるのに…俺達は何も出来ないのかよ!」
私達は、空を見上げていました。
キョウちゃんは疲れて眠っているので、今はソウ君が表に出て居る状態で、ソウ君は空を見上げて叫んでいました。
人々は突然の出来事に逃げ惑っています。
それも当然の筈です。普通に過ごしていて、あんな、黒い戦艦が突然現れたら…。
「…悪UTAUが一般人に知られたら、かなりの混乱を招きます。それだけは避けたかったのですが…」
「ララ、聞こえるか、ララ!」
アクアは、必死にララに呼びかけていました。
ずっと、そうしています。
「……菜香の家に行きましょう」
「…その人って、ユアさんの友人だろ?その人も一般人じゃないのか?」
「まあ、一般人と言ったら、一般人ですが。ソウ君、彼女の所、実はUTAUが一人居るんです」
その言葉にはイアル君もアクアも驚いたようで…。
「「「はあっ!?(!?)」」」
「…なんで、其処に…」
イアル君が私に尋ねました。
『それはわしが教えてやろうかの』
「お婆様!?」
お婆様から突然通信が入ってきました。
『さての、結構前じゃったかの?いや、わしの感覚では、数分前にも満たないがの?まあ、その時に、マコが悪UTAUをつくり、UTAUを洗脳した者から逃げていたのじゃ。マコは、唯一敵の素顔を知っている重要な証人での、わしは、マコを地球へ逃がしたのじゃ。何人かのUTAUと共にの』
「じゃあ、その行った先で、菜香という人に会ったんだな。マコは」
『そういう事になるのう。気になった事があれば何でもわしに聞くとよい。わしは大体のことなら何でも知ってるしのう。じゃが、わしにも知らないことも稀にある。わしとて、神じゃないからのう。じゃが、お主らの力になる事は出来る。UTAUを探して保護するなら、わしの言葉を頼りにするとよい。いいかの?』
「はい、分かりました…。皆さん、菜香の家に行きましょう」
私達は、菜香の家に行く事になりました。
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ルル視点
「…此処は…」
僕は何時の間にか気絶して、菜香の家に運ばれていた。
体は動かない。
「あ、起きた?ごめんなさいね、勝手に体だけ電源を落としてあるの。少し体に作業を加えるからね」
「…あなたは、何故其処までVOCALOIDの事を知って…?」
「私はね、親がVOCALOID製作に携わってたのよ。エンジェ星の襲撃で死んじゃったんだけどね…。お母さんはね、ユアのお父さんの妹だったんだって」
「じゃあ、お前とユアさんは、いとこ同士って事になるのか」
「まあ、そうだね。で、お母さん達の遺したVOCALOIDの設計図を見ながら、貴方の体と、キリアちゃんの体を直してるって事」
菜香は、笑った。でも、無理したような笑い方で、何だか、少し哀しそうな笑顔だった。
「…まあ、ルル君の方はもうすぐ終わるから、もう体の方は起動するんだけどね。少し眠ってもらってたから」
「…わかった」
体の緊張がふっと解け、僕の体は動いた。菜香はそれを見届けると、キリアが居ると思われる方向へ行った。
「…」
その時、何処かからピンポーンという音がした。
何の音だろうか?
「あ、はいはーい」
菜香は、慌ててその音の方向へ駆けて行った。
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ユア視点
「此処です」
私達は、菜香の家に着きました。
「此処…か?」
「はい、菜香は一人暮らしで…悪UTAUによって、親を殺されたんです」
菜香の親は、VOCALOIDの製作に携わり、エンジェ星に滞在していました…。
まだ12歳だった菜香を地球に残して。
菜香の親は、自分達が死ぬと分かった時、菜香にVOCALOIDの設計図をデータで送り込んだのです。
菜香に前会った時は、まだ10歳の時で、お互い全く知らなかったのですが、とても、楽しく話せた友達です。
「…キリアちゃん…」
「菜香が預かってる可能性もありますし、大丈夫だと思います」
イアル君に、私は声を掛けました。
何だか、上の空みたいな感じで…。
「…ううん、この中にキリアちゃんが居る」
イアル君は、ずっとキリアちゃんといたから、キリアちゃんが何処に居るか分かるのでしょう。
「…そっか。俺は、ルルが何処に居るかなんてわからねぇや。何でだろうな」
「…」
アクアの言葉に、ソウ君は少し俯きました。
アクアが何者かは、私にもちゃんと分かってます。
ララとルルの関係だって、彼の存在だって…。
「あ、はいはーい」
インターホンを押して、足音が聞こえてきました。
「…ユア…」
其処には、ちゃんと、菜香が立っていました。
続く
歌姫戦士ボカロボット第40話
歌姫戦士もやっとの事で40話!
それにしても…リユウ、それはフラグだ!やめろ、やめてくれええええええええぇぇっ!
次回予告
ミユウ「悪UTAUとの戦闘が始まった。悪UTAUとの戦いを見るのは何度目だ?初音ミク達は、一体どれくらい悪UTAUと戦って居るんだ?戦いの最中、ユアさん達も帰ってくるが…次回「ユウ・ノイゼリエス」あいつって一体…?」
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