ひらり舞い散る桜
ほろり零れる涙
ふたり影を重ねて
ふらり酔う朧月

下駄を蹴飛ばして飛び出した
四月の空は花曇り
傘は重たい 荷は軽い
たまには春雨喰うのもいいでしょ
事の始まりは月曜日
春の夕は鴇浅葱
「誰そ彼」申せる隙もなく
現れた黒影は枯れ声で
「アナタ左のその角を
 迂がったトコの家の倅ですネ
 どうか何時何時に某の場所へ
 遅れず来なさんせ」とそう言った!

走る走る 坂を上って
そこが約束の桜塚
麗らかな陽射しが透き通り
高く永く そびえる桜
駆ける駆ける 時を気にして
すでにお陽様は地に堕ちた
『しかし私に何用がある』
そして、辿り着いた桜塚

今朝のお天気は曇りかな
人に頼んで雨戸を開ける
嗚呼、花の雨 菜種梅雨
しとしと 傘差すわたしがいいのに
物の終末は突然に
春の余寒は薄紅梅
黄昏を憂い窓を見ると
駆け行く少年が目に映る
「君よ 毎日この角を
 迂がって走りゆくその姿を
 羨み もうハチキレソウ」と
 傍らの猫に語りかける

馳せよ馳せよ 君の思いを
さらば願いは必ず叶う
暖かな空気が風となり
きっときっと 奇跡が起こる
掛けよ掛けよ 僕に願いを
すでにお月様は地に堕ちた
そして今君を送りましょう
闇に彩られた桜塚


「アレヨ アレヨ ここはどこなの。
 まあま! 本当に綺麗な桜。
 夢か現か知らないけれど
 とても とても いい気分かも」

「もしや もしや あなたが僕を
 ここに呼び出した方なのですか
 違うって? なんだか分からない
 けど、ここで逢ったのも縁ですね」
 

ひらりひらり舞い散る桜
ほろりほろり零れる涙
ふたりふたり影を重ねて
ふらりふらり酔う朧月

花よ鳥よ煌めく春よ
出会い別れていくその時に
華やかな光が指し示す
千千に咲き乱れた桜塚

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

桜塚

長い

閲覧数:148

投稿日:2010/04/10 00:35:52

文字数:755文字

カテゴリ:歌詞

オススメ作品

クリップボードにコピーしました