「柊」
また枯れた風が僕を追い抜いた
悴んだ手先を震わす不安
チクリと痛みが胸に走った
あの花はなんだったかな
この公園の中央の噴水の先に咲いた花
君も誰かを待っているのかい
さよならを伝えたい君のために
木枯らしが僕に吹き付ける
涙も凍れば平気なんだろう
そう思うたびに棘は胸に食い込んでゆくんだ
その花の葉を掴んでみたくて
凍った指なら血が出るだけだし
痛みがあることを示したくて
すまない一枚葉をおくれ
皆が忘れた冬の中 涼しげにここに咲いた花
君の待ち人はいいひとかい
さよならだけなら構わないから
指を裂いてゆく葉の先に
君の笑顔をのぞいた気がした
始めからわかっていた筈だったというのに
感覚を失った動かない指先は
生きている証拠を垂らしただけで
胸にあるはずの痛みを示してはくれない
まだ、あの人はこない
さよならすらいらないんだろうな
木枯らしですら飽きたんだもの
冷たい花がすこし咲いているよ
ついにその棘は僕の胸を貫いたんだ
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