ゲームは大好きだ。
 なんてったって自分の時間にどっぷりとはまりこめるからね。
 その日はずいぶんと平凡で、なんてたって当たり前すぎた一日だった。あれひとつがテンプレ展開だと疑っちゃうくらいに。
 ゲームってのはやっぱり楽しませてくれる。とてもいいものだ。クーラーのかかった部屋で、優雅にゲームで狩りを楽しむ。きっとこのゲームを作った人は引きこもりだったんだろうな……、そんなことさえ思いついてしまう。
 遠くでは民謡かなんかの声が聞こえてくる。そう言えば時間確認のためにラジオをつけていたんだっけかな。そろそろ消さなくっちゃ。

『――お昼のニュースをお伝えしました』

 いつもどおりの精悍な顔立ち(だと思う)のニュースキャスターがニュースの終了を伝えると、ポップなミュージックが流れてお笑いのショーが始まる――はずだった。

『――ここで、大統領からお知らせがございます』

 大統領? どういうこっちゃ?

『みなさん、とっても残念なお知らせですが――本日、地球が終わります』
「は?」

 私はもう、わけわからなかった。なんじゃそりゃ、って話。なんでいきなり地球滅びんの? もしかして今日エイプリルフール?! ……と思ってカレンダーを見ると八月十五日だった。だよなあ、やっぱりエイプリルフールだなんてことはなさそうだ。ってなると……本当?


-Headphone actor-


 外を見ると、なんだか飛行機が空を覆い尽くしていた。それはまるで鳥に見えた。世界を覆うような――恐ろしい存在。三日月をすっぽりと飲み込んでもなお、どこへ向かうのか、私にはわからないし、別に知らなくてもいいや。
 とりあえず机のゲームも参考書も置いておこう。しゃーないよね、どうせまた戻ってこれるよ。ってなわけでiPodとヘッドフォンを……あれ? さっきゲームやってたときに使ってなかったっけ? あれ?
 ああ、あったよ。大事な大事なヘッドフォン。これを耳につけないとなんだかやってけないんだよねえ。ってか八月のくせして寒いし。これほんとに地球温暖化なんだろうね? 逆に寒冷化起きてない?
 まあ、そのことはいいや。とりあえず何か聞こうかな……

「聞こえる?」

 ……わたし、もう電源いれてたっけ?

「……聞こえるなら、返事をしてよ」
「……聞こえるよ」

 こころなしかその声は私の声のようにも聞こえた。

「……ねえ、生き残りたい?」
「えっ?」
「地球が終わっちゃうんだって。滑稽でしょう?」
「……、」
「生き残りたい?」

 ……決まってるじゃない。
 私はその声にしっかりと頷いた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

カゲロウプロジェクト The animation 第二話①

a headphone actor①

閲覧数:275

投稿日:2012/08/22 23:00:01

文字数:1,099文字

カテゴリ:小説

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