目に映るこの景色が私の全てだった
この世界に溢れる雑多な音も
私の耳は受け止めない


普通の暮らしがしたかった
友達とおはよーって挨拶して
休憩時間におしゃべりして
笑いあって……
そんな暮らしがしたかった
でも神様は無慈悲にも私に聴く力を与えてはくれなかった
人の声は聴くことも叶わず
言葉も話せない

龍になりたい
強く願う
耳が無いのに
多くの人に崇められ
多くの人と交わった龍
伝説と分かっていても……


人通りの多い道路
慎重に歩いていたはずなのにね
男の子とぶつかったんだ
転んでしまった私に何かを言いつつ手を差しのべてくれた
でもね私は声を聴けないし話せないんだ
身振りで感謝の気持ちを伝えても
変な人と思われるのが常だった
諦めていた

突然握られる手
ビクリッ
身がすくむけど
お構い無しと言わんばかり
その人の指が掌を滑る
「大丈夫ですか?」と……


変な人と思われなかったの?
もしかして私の事を知っていたの?
疑問が沸き起こる……
でも
小さな親切が嬉しくて
とてつもなく嬉しくて……


龍になりたくない!
やっと分かった!
対等に話がしたい!
記録に残るだけじゃ嫌なの!
今まで諦めていたけど
本当は深く人と繋がりたいんだ……

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

龍になりたかった少女

はじめまして。
直希の初投稿作品です。

僕は人権のサークルに参加していまして、その中で耳の不自由な生徒と知り合い、仲良くなりました。

彼との会話や思いを聞き、自分の意見を交えた物を詩にしてみました。

ちょっと歌詞っぽくないな~と思います。すみません。

閲覧数:132

投稿日:2011/02/07 08:05:21

文字数:530文字

カテゴリ:歌詞

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