彼女と僕は愛し合っていたんだ
彼女はとても重い病気にかかっていた。普段は優しくて、いつも笑顔で僕にたくさんの愛をくれた。
でも、突然発作が起こった時には辛そうで苦しそうで、苦しさの所為かいつも「殺して」と叫んでいた。虚ろな目で僕を見つめながら。そんな彼女を見ることが僕は一番辛かった。
あの日も病室で彼女は僕が来るのを待っていた。扉を開けると彼女はいつものように笑顔で僕を迎えてくれる。今日は特別な日。彼女の周りにはたくさんの花束とHAPPYBIRTHDAYと書かれたカードが置かれていた。彼女を祝うひまわりの花束が彼女の笑顔にとても似合っていた。
彼女は僕が切ってあげた果物もいつものように嬉しそうな顔をして「おいしい」と言ってくれていたのに。
突然、彼女はうめき声をあげながら顔を歪めた。発作だ。指が白くなるぐらいシーツを握り締めて苦しそうに息を吐く、すぐに医師を呼ぼうとした僕を君の声が止めた
「 コ ロ シ テ 」
彼女はこれ以上病気がよくならないことや、一生発作に悩まされることを知っていたから、彼女が苦しむたびに僕や彼女の両親が辛そうな顔をしているのを知っていたから…
優しい彼女は、自分はこうされたいと望んだのだろうか。
「泣かないで 私はきっと あなたにこうされたいと望んだの」
気付いた時には僕の手は血で塗れていて。君の姿を見たとき、手の中の果物ナイフが床に落ちた。
たくさんの涙が頬を伝って手に落ちたところから血をふやけさせた。
彼女が最後に言った言葉を思い出したとき僕は泣き叫んだ。
それから僕は鉄格子に囲まれた部屋に連れていかれていろんな人に質問され、知らない人から「狂っている」と言われた。
たとえ彼女が自分の命を僕の手で終わらせて欲しいと言っていたのを実行するのが現実的でなく、僕が狂っているのも分かっていた。
彼女の両親が何千回僕を許そうとも僕が彼女を殺した事実に変わりはなかったんだ。
僕は自分の手を見て呟いた。
『この手は血でふやけて 元にはもう戻らないけれど
悔やまないよ すぐに会えるから』
それからただ息をしているだけの日々が流れて、記憶の中の彼女が薄れていっていることに気付いた。
彼女の最後の瞬間も、彼女の辛そうな顔も、彼女が喜ぶ顔も。
ただ、彼女の病気が酷くなる前に二人で行った黄色い花畑での彼女の笑顔だけが思い出されて涙がこぼれたんだ。
「死刑執行だ」と知らない人が僕に告げる。それは彼女が死んだ夏からずっと時間が経った冬の寒い日だった。
寒さの所為かよくわからない震える心身を引きずるよいにして光一つも届かない冷たい部屋に連れていかれた。もうすぐ彼女に会えるんだ…
階段を上り、台の上で彼女の言葉を思い出した、今。
「泣かないで 私はきっと あなたにこうされたいと望んだの
悔やまないで すぐに会えるから ねぇ
もう 大丈夫 あなたはきっと狂ってなんかないと思うの」
聞こえるはずのない鐘の音が聞こえて、足元が軽くなった。
最後に思い出したのはひまわりに囲まれた彼女の笑顔で―――
【勝手に】GALLOWS BELL【自己解釈】
突然思いついたので書いてみました。拙い文章ですいません。
あくまでも私の自己解釈なので文句は言わないで欲しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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