背伸びをしていたら 芽吹く森が見えたの
月に濡れた めしべと ネジ巻く金剛の蝶

四花(しけ)は甘露に咲き
融けた季節 まぶせば
ほら 億万に枝(え)を散らして
やわらかい光を 星の台座から捉えて
そして クリスタルの泉が歌う中 出会うの

僕は夜明け前の卵
光になる前の光で
名前を探して 旅する欠片

太陽が生まれる果てへ
まどろみが留まる向こうへ
二人で一緒に行こう


極楽鳥の群れは 不吉な群集劇(オペラ)のビジョン
繰り返す こっけいさは ゼンマイ仕掛けに軋む

金管の林 越え 
色めく大河を 昇る
ほら ゴンドラ 舞い上がれば
紫煙(しえん)の千院(モスク) 
本繻子(サテン)の雲に 覗いた割れ目
数えた月は 二つ刻み 冷えた雨 流した

涙の湖水(こすい)の街は
君の夢に 満ち溢れて
それは とてもしょっぱくて 痛いよ

突如 朧月(ろうげつ)は燃えて
虚飾の衆人(もりびと) 映すと
終末の晩鐘(ばんしょう) 響いた


ゼブラの背中に 乗って駆ける
崩れ始める世界の色 不条理(ピリオド)で染めてく

刻(とき)の声は 冷酷に
示す風は メトロノーム
僕らは 迷いながらも 進んだ

忘れ去られた海で
二人が見つけた答えは
光になれない光だった

悩んだ瞳(め)で君は笑う
苦しみは夢を呑んでいく
運命(カルマ)の車輪 廻して 昇るよ

優しかった夢は 終わる
多分 まだ わからないけれど
今は名前があるから そう
これから全てが始まるよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

夜明け前の卵

まちすさんの曲
http://piapro.jp/t/den8
に寄せて

文脈は2つあって、一つは夢から現実へ戻る話
もう一つは妊娠して子供を産むまでの話、となります。

■後記
不採用でした。
前回も難しかったんですが、今回はそれ以上にハードルが高くなっていたと感じました。感情移入が難しくて、途中から曲を聞かないで、キーフレーズだけでストーリーを組んだりと、イメージを広げる作業はかなり膨大になりました。ただ、そのおかげで個人的には前回の応募よりもいい詞になったかなって思っています。
落選は残念でもありますが、ただ採用されて期待に応える事ができるのか?と考えた時に、なかなか自信がなかった所もあって、落ちるべくして落ちたのだろうと思っています。

今回の応募で一番、うわっ!って思ったのは鶏さんの詞です。響き的には一番ぴったりな感じがしたし、内容はもちろん、特に行間の飛躍の連鎖が素敵で、ずば抜けている思いました。同時に、読んでいて相当テクニカルな形で纏めたんだろうなって感じていました。

そして採用されたさはらさんの詞は、さはらさんらしい詞で、観念的でスタイリッシュな感じがします。それはこの曲の、特にAメロの、どこか冷たく途絶えている様なメロディラインを考えた時、ぴったりだと思いました。

この二つを比較した時、鶏さんがその豪腕ゆえに曲を自分の色にしきっていたのと好対照に感じたりもしました(あくまで私見ですので^^:)。さはらさんの方がよりこの曲を聞いてピン!となり、自然に書いた感じがしたのです。

そう考えた時、まちすさんの公募に対する考え方とかも、少し見えた気がしました。詞としての完成度はもちろん前提ではあるのですが、その曲と相性があう「作家性」を見ているのでは?とか。
そう考えた時、多くの人にチャンスを与えるという公募でもあると思うし、また色々な人の詞を採用する事によって「まちすブランド」の幅を広げたいという部分があるのかもしれない、とか考えたりしました。

閲覧数:344

投稿日:2013/04/27 02:35:18

文字数:635文字

カテゴリ:歌詞

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