「日本のクリスマスってなんだろう」
就寝前のベッドの中で私は自問自答してみる。返事が来るわけもないし、それに答えはないと私は思う。

◇ ◇ ◇

やっと蒸し暑い夏が終わり、秋を感じる間もなく肌寒くなったと思ったらもうすぐ冬休みだった。イベントがたくさんある冬休みを控えて、お昼休みの教室はいつもより少しだけ騒がしかった。
そんななか、いつも昼食をともに食べている友人が唐突にこんな質問をしてきた。
「ねえ?なんで日本にクリスマスってあるのかな?」
私はお弁当のおかずを咀嚼しながら、考えているフリをする。
「ねえ、なんでだと思う?」
いつもはこれで切り抜けられるのに、今日はなぜかしつこい。
「なんでって、楽しいからじゃない?」
恐らく友人はこんな返答を期待している訳ではないと思いながらも、当たり障りのない言葉を選ぶ。
「えー、だって本来はキリストって人の誕生日なんでしょ?」
「うーん、そうだと思うよ」
友人はそのまま矢継ぎ早に続けた。
「日本人はその人の誕生日を身内だけで祝うでしょ?それならキリスト教徒の人が楽しむのは分かるけどさ・・・・・・」
長くなりそうなので、私は話をぶった切る事にした。
「じゃあ、あんたはクリスマスケーキは食べないの?」
「食べるけど?」
なんの躊躇もなく答える友人。
「じゃあさ、それでいいじゃん」
空になったお弁当箱を片付けながら、適当に答えた。
私の返答に納得していない友人が喚いているのを無視して、食後の休みを取ることにした。
その後の友人は、お昼休みの事などなかったように静かだった。

◇ ◇ ◇

「ふー」
私は寝る準備を済ませ、いつものようにベッドに倒れこむ。
いつもならこのまま夢の世界へとダイブするのだけれど、今日はなんとなくお昼休みの友人の話が気になった。
「日本のクリスマスってなんだろう」
寝付けなさそうなので、暇つぶしに考えてみた。
 日本人はイベント好きだから、節分もバレンタインもあまつさえホワイトデーまで楽しもうとする。欲張りだと思う一方で、幸せで平和だなとも思う。
だから食いしん坊の友人は、クリスマスはキリストのうんぬんと口では言っておきながらも、ケーキが食べられる理由があればそれでいいと考えてるに違いない。
友人が甘い物を食べている時の顔は本当に幸せそうだったのを思い出す。
 思ったより時間つぶしになることはなく、私なりの答えが出てしまった。
“日本でのクリスマスは、個々で楽しめればそれでいい”終わり。
適度に働かせた弱い頭は休ませろと瞼を重くさせ、それに逆らう事はせずに意識を本能に任せた。
 夢はあまり覚えられないけれど、眠る直前の事は割りと鮮明に覚えていた。
学校で友人に会ったらまずは昨日の暇つぶしの答えを教えてやろうと考えながら、制服に着替えた。
いつもエゴだらけの話を適当にあしらう私を不満そうな顔で見てくる友人が、わざわざ私の方から掘り返したらどんな顔をするのか楽しみだ。
「なに薄ら笑いしてんのよ。気持ち悪い」
私の母はいろいろと酷いと思う、ご飯は美味しいけど。

「おはよう」
「おはよー」
友人は気怠そうに答えた。
私はさっそく、昨夜の件の話を持ちかけた。
「ねえ、昨日あんたが言ってたクリスマスの話だけどさ」
「なにそれ?私そんな話したっけ?」

通学中の冷えた体を教室のストーブで暖めている友人は、とても幸せそうな顔をしていた。

◇ ◇ ◇

 「ねえ」
「なーにー?」
「なんで日本にクリスマスってあるのかな?」
私は別の友人に聞いてみた。
その友人は何も答えてはくれなかったけれど、とても面倒くさそうな表情を私に見せてくれた。

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くりすます

なんだこれ

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閲覧数:137

投稿日:2012/12/20 23:06:48

文字数:1,524文字

カテゴリ:小説

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