色んな蝉の声が鳴り響く、青い青い空が夏を告げているある日のこと。ここ、バンの研究所では、ちょっとしたパーティーが開かれていた。ということで、今日は色んな人たちが集まっている。
「やっとこの日が来たなー、バン」
「そうだな、アカイト」
いつもより少しだけ楽しそうなアカイトが言うと、バンも頷いて言った。
「ちょっと何よー、アカイト、あたしのバンちゃんに気安く話しかけないでくれるー?」
アカイトを睨んでバンに抱きつこうとする愛斗。
「いいですよ、愛斗さん。その調子でどんどん言っちゃって下さい」
にっこりと黒い笑みを浮かべて、モコは言う。
「ちょ、モコにゃん。怖いにゃーん・・・」
「・・・そうですね」
「・・・だね」
そんなモコに、毒舌家のミンは呟き、ジミとその隣にいたレトもミンに同調する。
「ほらほらぁ?モコちゃんも言ってるんだし、婚約解消しなさいよ!」
バンを腕に収め、勝ち誇ったように愛斗はアカイトを見る。
「お前・・・」
アカイトは少し怒ったように、愛斗を睨む。
「これぞ、恋の修羅場よね!」
ナエルはすかさず、びしっと決めて言い放つ。
「ナエル、そんな人事みたいに言っちゃだめわん」
ワンは少し困ったように言う。
「うわーい、恋の修羅場!「三角関係!「「最高ですわー!!」」
ムウとフワは息の合った言葉の掛け合いをして、アカイトと愛斗とバンに注目する。
「今日はパフェ対決がありますけど、ここの対決は見ごたえ十分ですねー、フワさんやー」
「それに、乙女なところのある愛斗さんが来てますからねー、ムウさんよー」
「・・・それに、のところの意味が分からないんですが」
「・・・・リアにゃーん、あの2人ってなんなのー?」
そのやり取りを見ていたウサがリアにたずねる。
「さあ・・・。でも、楽しそうだからいいと思うよ」
「楽しければそれでいい!うー!」
「お?なんかウサ楽しそうだなぁー。じゃあ、俺と色んなことして遊ぼうk「何言ってんの。今日はパーティーよ?少しは自重なさい」
「あはは、ラクにぃ、怒られてるー!」
「うう。・・・ウサの笑顔が見れただけでもいいと思うか」
ため息をついて、ラクは言った。
「ハカセは、誰のものでもありません」
凛とした声がして、何事かと声のした方を見ると、・・・そこには、ジュラが立っていた。
「・・・ジュラ」
愛斗に抱きしめられたまま、バンはジュラを見る。
「え、ちょっとジュラちゃん?・・・ひょっとしてジュラちゃんも、バンちゃんのことが好きなの?」
「いいえ、普通です」
困惑げな愛斗の言葉に、きっぱりと言うジュラ。
「先刻も言った通り、ハカセは誰のものでもないんです」
「・・・そうだな、ジュラの言っていることは、あながち間違ってない。でも、私は、」
バンは少し頬を赤らめて、
「・・・・でも、私は、・・・アカイトのことが、大好きだから、・・・誰のものでもないという断言は間違っている」
「・・・ハカセ」
ジュラは静かな瞳で、尊敬するバンを見つめる。
「分かるな、ジュラ?・・・あ、でも」
バンはそう言うと、愛斗の腕から逃れて、
「・・・アカイトでもないのに、大人しく抱きしめられるということはだめだな。その点だけは、ジュラの言った通りだな」
「・・・ハカセ」
心なしか嬉しそうに顔をほころばせるジュラ。
「むー、覚えてなさい」
「うっせぇんだよ、愛斗。ふざけんな」
悔しそうに呟く愛斗に、アカイトは相変わらず睨んだまま言うのだった。

と、その時、入り口のドアが開いた。
「こんにちは、皆さん。・・・僕みたいな者がここに来ていいのかなぁ?」
「いいのいいの。今日は、夏休みに入って間もない日だから、いーの」
少し気後れしながら青い髪に青いマフラー、そして何故か黒いTシャツ姿のカイトが入ってきて、そのすぐ後に、カイトのマスターと思しきマスターが入ってくる。
「わぁ、出たー!!」
「誰がお化けだなんて言ったんですか、アカイトくん」
大げさに驚いて見せるアカイトに、カイトは軽く睨む。
「あはは、ごめんなカイト。だって、久々にお前の顔見たもんだから、つい・・・あはは」
「・・・相変わらず、アカイトくんは意地悪いですね」
「はいはい、そこまでぇい!貴方、もしかして、あのカイトさん?」
マニがひょこひょことやって来て、カイトを見て言った。
「もう、マニちゃん?カイトはそこらへんにいる人なんだから、扱いはぞんざいでいいよ!」
「マスターってば、他の人がいると、途端に意地悪いんですからw」
カイトのマスターの言葉に、カイトは妙に嬉しそうに言った。
「ちょ、この2人相当怪しくねーか?」
ダッツは、ぼそりと呟く。
「もしかして、恋人同士?よね?」
それを聞いたナエルは、意味深にカイトとマスターを見る。
「・・・いいえ。違いますよ、ナエルさん」
カイトは、少しだけ淡く微笑んで見せると、
「あ・・・。・・・悪かったよね、反省する・・・よね」
ナエルは、すごすごと素直に引き下がったのだった。
「なぁ、この2人って訳ありだとは思わないか?にゃーさん」
ダッツは宿命のライバルであるにゃーさんにたずねる。
「・・・そうだな」
やっぱり同じようなことを感じたのか、にゃーさんは意外にも頷いた。
「だが、人それぞれ事情はあるからな。こういうことは深く関わらない方がいいと思うぞ」
「まぁ、俺もそこまで知りたいとは思わないけどな」
ダッツとにゃーさんはお互いライバルであるにも関わらずに、顔を見合わせて笑った。
「・・・何、話しているんだろう」
「分からないうおーん!」
そんな2人にピノとミナにゃーは、首を傾げるばかりだった。
「初めまして、私はこちらのアカイトの婚約者であるバンです」
「あら、ほんとにぐるぐる眼鏡だ。・・・そうなんですか、アカイトからいつも話聞かせてもらってます」
バンの言葉に、マスターも言葉を返す。
「おいおい、眼鏡以外に突っ込むとこ無いのかよ?」
アカイトは2人の間に割ってはいる。
「「なにが??」」
「・・・婚約者のとこだ。全く、そんなこと俺に言わせるなよな」
2人揃って聞き返され、アカイトは若干ため息をつきたくなりながらも言った。
「あー、それのこと」
マスターは笑って、
「いいよ。・・・でも、結婚式にはちゃんと呼んでよね」
「私も呼んでよね!」
「う、うるせぇ!!・・・っていうかナエル、お前便乗してくんなよ!絶対、お前は呼ばないからな、何があっても!」
顔を赤らめつつのアカイトの言葉に、
「ほんとは嬉しいんでしょう?」
という、普段は完全に場を見守るシキの言葉に、アカイトは驚いて、
「え!?・・・あ、まぁ、・・・いやじゃないな、・・・確かに」
気が動転したのか、言葉が切れ切れになってしまっている。
「・・・いい加減落ち着いたらどうなんですか。いい大人がみっともないですよ」
そんなアカイトの様子に何故か苛立つモコ。
「ご、ごめん、モコ」
そして何故か、モコには頭が上がらないように謝るアカイト。
「うわー、ほんとに一言からこんなに話が広がっていくとは・・・。なかなか面白いなぁ」
「マスター、感心してないで止めたらどうですか」
「え、この人がカイト?」
そう言いながら、とてとてとこっちに歩いてくる紫苑。
「わー、本物だー!」
紫苑は、きらきらとした表情で見つめる。
「・・・やめときな、紫苑ちゃん。こいつはアカイトの次に有名なロリコンだから、きっと紫苑ちゃんのことも狙うよ、多分」
「ちょ、マスター、いい加減な話吹き込むのやめて下さい!・・・僕は、マスターにしか興味は無いです!!」
「・・・ね、だから言ったでしょ?カイトはロリコンだって」
口調も全く変わらずに、マスターは紫苑にカイトについて良からぬ話を吹き込み続ける。
「・・・そうですね」
さすがに信じ始める紫苑。
「っていうか、紫苑ちゃんってば、髪柔らかいねー」
「そうですか?」
嬉しそうにマスターに頭を撫でてもらう紫苑。
「・・・いいなぁ、僕もしてほしい」
「いや、お前はだめだろ」
羨ましげにその光景を眺めるカイトに、やっと落ち着いたアカイトはばっさりと言ったのだった。
「さーて、感動の再会も果たしたし、「そろそろ「「パフェたいけーつ!いってみよう!!」」
「こいつらって、何だ?マイペースか?だとしたら、一番最悪なパターンだろ」
なにやら盛り上がるムウとフワに、アカイトは呆れて言った。
「ほんとは買出しとかしなきゃだめなんですが、今回は!」
「今回は?」
「あらかじめ用意されている材料を使って、パフェを作ろうという企画です!」
「企画ですか、大層ですね」
「というわけで、次回の中編からは、いよいよパフェ対決に向けてパフェ作りに入ります「入ります」」
「へー、なんだか楽しそうだな」
ムウとフワの言葉に、アカイトが言うと、
「ちょちょ、何人事みたいに言ってんだい?お前さんもパフェ作るんだよ。じゃないと、お前さんの大切な婚約者が奪われるからねぇ」
「はぁっ!?ちょ、何言って「がんばって下さい!」・・・・・・・」




・・・・というわけで、次回中編をお楽しみに!


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【亜種コラボ長編・前編】 まずは雑談で腕ならしでパーティーはまだ控えめに

こんばんは、もごもご犬ですこんにちは!
やっと前編終わったー!!><
っていうか、もうちょっと書いていたかったけど、話的に終わってしまったorz
・・・まあ、それはさておき、楽しんでもらえれば幸いです!

次回はいよいよパフェ作りです!どうなることやら・・・。
お楽しみに!^^

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投稿日:2010/07/22 20:27:57

文字数:3,762文字

カテゴリ:小説

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